落合陽一「質量への憧憬 ~前計算機自然のパースペクティブ~」から解像度について考える
2019年1 - 2月に行われていた落合陽一さんの個展について改めて考えてみます!
タイトルの「質量への憧憬 ~前計算機自然のパースペクティブ~」ですが、パースペクティブというのは遠近感という意味です。
解像度の差を俯瞰する
いろんな作品があったのですが、今回はこの作品を中心に、解像度について考えてみます。
モニターがいっぱい置いてあるんですが、すごく古いのとかもあって。。
見ると分かるように、画像は同じなんですよね。元データは同じ。でも出力するモニターが違うので、解像度がいろんな状態になった画像を並列にみられる感じ。
ものすごく古いものはノイズが入ってたりします。
外向きにあったモニターはたぶん、すごく新しいやつなんですが、ガラスと反射して画像がよく見えなくなっています。
破壊されたコンクリートや立ち入り禁止のポールみたいなものも合わせて置いてあって、これが意味するところはなんだろう、と考えが広がりますね。
最近、よく聞く言葉で「解像度の高低」があると思うのです。
その考え方はまだ解像度が低すぎる、高すぎる、みたいなやつですね。解像度が高いということは物事の詳細が見えているということで、ともすると解像度が高いほうがいい気がしてしまいます。
確かに、解像度が高いほうが情報量が多くて鮮やか、感動が多く感じます。ただ、こうして解像度がさまざまなものが並列に並んだ時、単に解像度高い=良い、低い=まだまだ、ではないなーというのを感じました。
写真家のレスリーキーさんが以前、モノクロのポートレートを撮る理由として「色は情報が多すぎて邪魔」というようなことを言っていました。
人間は1秒間に1億個の刺激を受けていて、そのほとんどを捨てているという話もあります。
ネットで膨大な情報が均等に流れていたとしたら、なにが大事かわからないですよね。全部の情報を受け止めていたら軽くフリーズするくらい、この世界は刺激にあふれています。
だからこそ、ある程度、取捨できることによって、物事を認知することができる。ものすごく高すぎる解像度は、認識しきれないということもあり得るのではないかなと。流れている情報に強弱(目立ってるかどうか)があるから、心に残る。解像度が低いほうがそこはキャッチしやすいかもしれません。
画像データを考えてみると、すごく高画質のデータはきれいだけど、重くて扱いが大変みたいなこともあります。アップロードする時間を待つとかしないといけないとかですね。
解像度が低いものは扱いが容易(スピードが出る)という利点もあるし、全体像を把握しやすいというメリットもあります。そもそも、解像度が高く物事を見られたとして、それが自分の行動や人生に結びついていなければ、あまり意味がないんじゃないかとも思うのです。
また、すべての物事についての解像度がスーパー高い人っていうのもいなくて、だいたいの人はAについては超くわしいけど、Bについては名前知ってるくらい、みたいな感じで、たくさんの解像度が違うものを一度に抱えている感じですよね。
大事なのは、自分の解像度を把握していい感じに調整することなのかなぁと思っています。
解像度を低くすれば、いろんな情報が排除され、概略や自分にとって重要なことが分かりやすくなります。あるいは、低い解像度の話は周りの人に伝わりやすいかもしれません。
どのレベルの解像度で世界を見たいのか、それはなぜか。自分自身の解像度を調整し、展開すること。解像度が低いことは自覚していればそれはそれで強みにできると思うんですよね。つまり、概略をつかむことや速度を出す、みたいな意味で。
自分もずっと「解像度を高くしなければ!」みたいな気持ちでいたのですが、「なんで解像度高くしないといけないんだっけ」と改めて考えた時、解像度を高くすることを捨てて、低いままで戦えることを考えるというのもありなのかもしれないと考えました。
自分にとって解像度を高くする必要があることなのか、その解像度はただ持っているだけじゃなくて活かせているのか、解像度を調整することはできるのか。
とりあえず、解像度高い=よさげ、の方程式だけを持つのはやめようと思ったのでした。
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