見出し画像

「嫌いな人から逃げるんじゃなくて、嫌いな人が自分から離れていくようにしたらいい」の話

「人間の悩みってほとんどが人間関係だって言うじゃないですか? でもどうしても合わない人がいた場合、その人と離れることができない場合ってどうしたらいいですかね?」
 たとえば家族とか。家に帰ったら必ず会う人たちとの関係性が悪かった時。すぐに異動できない職場の人間関係が悪かった時。そういう時ってどうしたらいいんだろう?
「向き合ってちゃんと話すことで、理解が深まることはある。ちゃんと気持ちを話せたらいいけど。まぁでも、そう簡単にいかないことだってあるよね」
 老人の言葉に、私は苦笑いしながらうなずく。言えないままこじれすぎてしまった関係。あるいは、自分の上司みたいに言いにくい関係。人間関係はいつも厄介だ。それから比べたら、物言わぬ作品と向き合っている時間のなんと楽なことか。
「人類全員と仲良い人なんていないからね。合わない人がいるのは当たり前だ。まずはね、誰かを嫌いって思う自分を責めないことだ」
 老人の言葉にハッとする。相手を責める気持ち、相手を責めてる自分を情けなく思う気持ち。その裏にあるのは、聞いてくれる人が欲しい、誰かに分かってもらいたいっていう叫びじゃないだろうか。
「ネガティブな気持ちに心が支配されてしまうのは、自分にとって一番の不幸だ。だから、まずはすぐに忘れてしまえるといい」
「それが無理だった時は?」
 簡単に忘れられずに、辛い気持ちだけがぐるぐる回って、世界がそれしかないみたいに見えてしまう時だってある。

ここから先は

1,166字
この記事のみ ¥ 100

ここまで読んでくださってありがとうございます! スキしたりフォローしたり、シェアしてくれることが、とてもとても励みになっています!