「選択するという仕事をやめるとエネルギーが自分に戻ってくる」の話

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この記事は00:00 Studio(ふぉーぜろすたじお)というクリエイターの作業がライブでながら見できるサイトで配信しながら書きました。書いてる様子はアーカイブで見られます。

noteに掲載する記事はかなりまめにこちらで配信作業しているので、気になる方はごはんのついでにのぞいてみてください。

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 抹茶のシフォンケーキの最後の一切れを飲み込んで、私はテーブルに皿を置き、代わりに緑茶を手に取った。緑茶が入ってるカップが、青い花柄の模様が入ったロイヤルコペンハーゲンだったので、なんか緑茶を飲んでいるような気がしない。緑茶はなんとなく、湯飲みを両手で抱えながら飲みたい。なんとなく。

「緑茶にお砂糖とか入れないですか?」

 ロサンゼルスで緑茶を出された時、現地の人は緑茶に砂糖を入れながら飲んでいた。海外だと緑茶は紅茶と同じく甘くして飲むものなのかもしれない。それを思い出したけど、老人は首を振った。

「私は砂糖を入れないほうが好きだね。日本人と同じだよ」

 私と老人はほとんど同じタイミングで緑茶をすする。

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 デンマークのコペンハーゲンにあるアートコレクターさんの家に話を聞きに来ていた。彼は小さな作品で家を飾るのが好きで、部屋にはアートの小品がたくさん飾られている。

「さて、他に何か聞きたいことはあるかな」

 老人に言われて、私はまた考える。さっきは自分が聞きたいことより、老人が話したそうなことを考えて聞いてしまった。自分も聞きたくて、彼も話したいことってなんだろう。

 やるべきことを後回しにしちゃうのをなんとかできないか。
 なかなか結果が伴わない時は何を変えたらいいのか。
 見栄のために選ぶ行動をやめるのってどうしたらいいのか。

 考えてみると、聞きたいことはけっこうある。でも、どれから聞こう。時間がなくて一つしか聞けないかもしれない。今、自分が一番気になっていることってなんだろうって私は考え始めていた。

「後回しにしちゃうクセをやめるにはどうしたらいいかを聞きたいかな、あ、いや、やっぱり早く結果を出す方法…」

 老人は緑茶を飲み干し、カップをトレーの上に置き、空になった皿を重ねて立ち上がる。

「君はあれだね、選ぶことに貴重なエネルギーを消耗しちゃってるんじゃないか」

 老人はトレーを持ってキッチンに向かう。私は緑茶のカップを抱えて部屋で待ちながら、時刻の合っていない時計が時を刻む音を聞いていた。

 老人はチーズとサラミ、それにワイングラスとジンジャーエールを持って戻ってきた。チーズは老人の好物のようだ。

「君はジンジャーエールでいいよね」

 私は、お礼を言って空になった緑茶のカップをテーブルに置き、ジンジャーエールを口に含む。炭酸がぱちぱちと口の中で弾けて心地よい。

「選ぶことにエネルギーを消耗しているっていうのは、どういうことですか?」

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