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「夢を叶えたいなら、味方してくれる時間は多いほうがいいだろう?」の話

「人生は有限。ということは、時間も有限なのに、時間の使い方がうまくないのかもしれません」
 私は紅茶を飲み干してから老人に言った。老人は空になった私のカップに新しく紅茶を注ぎながら言う。
「それこそ、優先順位のつけかたの問題かもしれない。お金をもらえる仕事だったり、子どものお迎えだったり。誰かに求められていることはどうしても優先度が高くなるだろう?」
「はい。でも叶えたいことはそれとは違うこともあって…」
 叶えたいことと仕事が完全に一致していると一番いい。でもそうじゃない時は、仕事や家庭を優先するせいで後回しになってしまうことだってあるはずだ。その間に周りの人たちはどんどんスキルを身に着け、活躍の場を広げていく。周りの人たちが輝いていく姿と比べて、自分はやっぱりダメなんだと落ち込んでしまう。
 いつも、そんなループばかりが繰り返されて、ちっとも前に進んでいない気がする。どうやったら時間を上手に使えるんだろう。

「時間を上手に使えないのはたぶんね、時間が有限だなんて本当は信じてないからなんじゃないかな」
 老人の言葉に私はハッとする。後回しにした時間はいつも、取り返せなくなってから気づくんだ。時間だけじゃない。その時、目の前にきたチャンスは、その瞬間に取りに行かないとモノにできない。そもそも、チャンスなんてほとんどこないんだから。
「君は、やるべきことの優先順位をどうやってつけているの?」
「ええっと、人生で一番叶えたいことを一番にしてる感じですね」
 死ぬ前に後悔を残す人が多いっていう話を聞いたことがある。だから一番後悔しそうなことを一番の優先にしたい。そう思っているはずなのに、実際に使っている時間は多くない。
「でも実際は、やりたいことに使う時間は多くないから、優先したいけどできてない、が本当のところかもしれないです」
 私がそう言うと、老人は紅茶で口を湿らせてから言う。

「気持ちの優先順位と、時間の使い方の優先順位が違うんじゃないかな」

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