「知られていることと人気があることの違い」の話
「でも知られているだけじゃたぶんダメなんですよね。人気者にならないと。どうしたら人気になれるんだろう…」
認知と人気は違うという話を聞く。テレビに出て誰もが知っているような人でも、人気があってファンがついているわけじゃないなんて話を聞いてしまうと、さらに途方にくれてしまう。知られるだけでも大変なのに、知られるだけでは人気者になれないなんて。いったいどうしたらいいんだろう。
「人気があるって思う人の特徴はなんだと思う?」
老人は私に質問する。彼はデンマークに住むアートコレクターで、室内には小さなアート作品がたくさん飾られている。
老人に言われて私は世界的に知られている有名人で人気がありそうな人のことを思い浮かべる。アート界の巨匠だったり、ハリウッドスターだったり。歴史上の人物や政治家で人気があった人というのはあまり思い浮かばない。いや、リンカーンはなんとなく人気がありそうだ。科学者ならニュートンやアインシュタインは人気がありそうな気がする。
「人類にとって重要な発見をした人とか、一芸に秀でている人とか。あとは作品がすごい人ですかね」
小説や脚本、映画監督、マンガ家、アーティスト。作品が魅力的で人気がある人はたくさんいそうだ。知っているけどファンがいなそうな人は、その人が創ったって言えるものがないかもしれない。
「なるほど、作品を通じて人気が出るっていうのはありそうだね」
「でも、作品を創る人は世の中にすごーくたくさんいますよ。人気になるのはその一部だけ。作品を創ったからといって全員が人気者になるわけじゃないです」
「もちろんそうだ。だけど、作品なら人と違って積み上げることができるんじゃないかな?」
「積み上げる?」
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