「挑戦に負けはつきものだけど負けグセはつけないほうがいいよね」の話
旅の言葉の物語有料版のご購入、いつもありがとうございます!毎週書くようにしてるんですが、ちょっと医療マンガ賞をがんばってたので空いてしまいましたね。
作品を通じた出会いがあることが、とてもとても幸せだなぁと思っています^^
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「うまくいかないことが連続してしまうと、このままでいいのかなってすごく不安になってしまうことがあります」
私は老人が持ってきてくれた炭酸水を受け取りながら言う。彼はデンマークに住むアートコレクターで、室内には小さなアート作品がたくさん飾られている。
「そうして新しいことに手を出したり、よく分からない誘いに乗ってしまうことってあるよね。人は自分で思うより不安に弱い生き物なのかもしれない」
老人は笑いながらクッキーに手を伸ばし、シャリシャリと音を立てながら飲み込んだ。
「挑戦には負けがつきものだ。負けるのが普通だと言ってもいい。ただ、負け癖はつけないほうがいいと思ってるよ」
「負け癖? なぜですか?」
「負けるのが当たり前になりすぎてしまうと、挑戦してる風で挑戦してない態度になってしまうことってないかな?」
老人に言われて私はハッとする。学生時代に童話賞に応募し続けていたことがあった。合計で三百本くらい出しただろうか。でも、最後のほうは前の作品の焼き直しや、ちょっと思いついた程度のものを出していた気がする。
どうせ受からない。
うまくいかないだろうなと思ってるから、創る物が最初から諦めの姿勢になっている。だからまた落ちる。それが続くほど期待が失われ、自信がそがれていく。
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