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「白か黒かじゃなくて、グレーの選択ができるといいのかもしれないよ」の話

「ある程度がんばって、ダメだったら諦めるってことも大事ですよね…?」
 私は老人にそっと声をかける。大学時代から物語を書きたいと思っていた。アートのほうはそれなりに結果が出たこともある。でも、物語はずっと、なんにもならないままだ。
 もう自分には才能がないんだ、諦めようって思ってるはずなのに、なかなか諦められない。もうヒット作をつくるなんて考えないから、ただ自己満足のためにやればいいと思いながらも、どこかで人に読んでもらうことを諦めきれずにいる。
「ダラダラつづけるよりも、きっぱり諦めたほうがいいって分かってるんですけど」
 悩んでいるのは時間の無駄だ。やめるならキッパリやめたほうがいい。
「つづけるか、やめるか。人生は白か黒かの二択だけじゃないよ。グレーを選ぶこともできるし、色以外の選択肢だってあるはずだ」

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