「君はかならず、成功する」#熱投 を読んで現代アーティストが考えたこと

VCの佐俣アンリさんの著作を読みました。

ふだん、私は現代アートを割とまじめにやっているんですが、現代アートをやるって起業するのとマインドが近いような気がして、とても勉強になった一冊でした。

技術の進歩が速くなって、時代の変化が早くなった今、芸術ができることや得意を活かせることも、これまでとは全然変わってるんじゃないかなって思っています。

現代アーティストをやるっていうのは、沈んでる時期の長いスタートアップ(浮上しない可能性もあり)みたいなものなので、それを傍で支える立場の人の本というのは、とても学びになることが多かったです。

特に学んだのはこちらです。

1)誰でも考えつくことを100倍の規模でやる。
2)成長する事業が優れた人格をつくる。
3)事業の成長に対して意味のある努力をするために、意味のない努力をしない決断をする必要がある。
4)倫理観を伝える。
5)愛は自発性に現れる。愛のある人は自ら動いて勝手に答えにたどりつく。

1)誰でも考えつくことを100倍の規模でやる。

海外のアートプログラムに、アメリカの美大の先生が参加していたのですが(2017年)、その時にアメリカでは資産家の子どもがめちゃくちゃお金をかけて現代アート作品をつくるので、普通の人が勝てない、というようなことを言っていました。これはその人の個人的な意見なのですが、美術館とか大きな展示を見に行くと、なんか巨大ロボみたいなのもたくさんあって、使える予算がもともとあるかどうかってけっこう大きな違いがあるなぁって思っています。

もちろん、お金をかけたから素晴らしくなるわけでは全然ないんですが、「いくらでもかけていい」と思って企画を出すのと、「自分でつくれる範囲で低予算で」って思いながら企画を出すのとでは、そもそもアイデアが飛ぶレベルが変わってくると思うのですね。

自分が伝えたいコンセプトを、100倍の規模でやれるとしたら、と考えたら違うやり方になるかもしれない。つい、「やれる範囲」というのを考えてしまいがちになるんですが、それだと今の自分の想像範囲を越えないので、大成功した未来の自分が考えているくらいの気持ちで、アイデアを出してもいいかなと思いました。

2)成長する事業が優れた人格をつくる。

事業を成長させることは人間の成長でもあるっていう感じの言葉で、とても勉強になりました。なんかがんばっていれば、日々成長してそうに思ってたので、ガーンでした。

事業が成長すると、人に仕事をお願いすることも増え、チームとして成果を出しながら他のチームと協力していく必要も出てきます。成長するほど責任も増すことを考えると、そのとおりかもしれないです。

成長ってなんだとか、成長したほうがいいのかとかそういうのはちょっと置いておいて、自分がやりたいことの規模が大きくなっていなければ、自分は成長していないと考え、規模を大きくしていくにはどうしたらいいかを考えていくのが自分のために良さそうです。

3)事業の成長に対して意味のある努力をするために、意味のない努力をしない決断をする必要がある。

広い目で見てしまうとなにもかもが関連してしまうので、本当にとても悩める部分ではあるのですが、、

現代アーティストとしてのコンセプトを尖りに尖らせることで、意味のない努力が減ってくるんじゃないかと考えました。

「癒しとは何か」みたいなことがコンセプトだと、非常に幅広いんですね。今、私が考えている未来の医療概念としての「社会治療」をコンセプトにした場合、癒しや生命についての定義とかも含みますが、具体的な制作物を創る時、自分の時間をなにに割り振るかを考えた時にかなり絞られるなと思ったのです。

コンセプトの自覚がなければないほど、事業の成長(作家活動の規模拡大)に対してのアプローチが弱くなるかなと思っています。創作活動って基本的に、つくっていれば進んでる気がしてしまうので、「成長してるかどうか」という視点は、活動をつづける上でもとても大事だなと思いました。

いつの間にか成長しなくなってたら、もしかしたら数年後には誰にも必要とされてないかも。飛行機は常にちょっと上に飛ぼうとしてるからまっすぐ飛ぶのだという言葉を思い出しました。

4)倫理観を伝える。

急激に成長した時に、起業家が慢心することのないように、伴走しながら倫理観を育てていきたいという言葉にすごく心をつかまれました。

日々、一生懸命生きていると、自分のことだけに目がくらんでしまうこともあります。倫理観って「自分たちが暮らす社会」を安心・安全の場にするために、とても大事なことです。優しい倫理観がある社会は、とても暮らしやすい。これは私が医療として考える「社会治療=みんなで社会を癒し、社会から暮らす人たちが癒される」にも通じることだなと思っています。

5)愛は自発性に現れる。愛のある人は自ら動いて勝手に答えにたどりつく。

「愛」を表現する作品ってすごくたくさんあるんですよね。特に日本人は「愛」が好きな気がしています。

でも、「愛」って漠然としすぎてて、どうしたら「愛」の状態なのか答えろと言われると難しくないですか? 愛しましょうってよく言うけど、具体的にどうしたらいいの、って言われるとちょっとよく分からない。

だからこの「愛は自発性に現れる」っていう言葉は、とても明確な行動指針を示してくれているようで好きです。

私は幼稚園に入るくらいの時に一か月半くらい入院していたことがあって、その時に病院のみなさんにとてもお世話になったので、病院がすごく好きなんですね。

医療に関わる研究の話を知るのがとても好きです。生き物の身体はとてもおもしろいし、病気の動態やその治療を考える人々のクリエイティブな発想にはとても胸を打たれます。

まだ、大きなお返しはできてないけれど、自分の好きな医療という分野に、なんらかの貢献ができるまで、愛をもって自発的に活動できたらいいなと思いました。

ここまで読んでいただきありがとうございました!
ALSという難病の治療研究を支援している「せりか基金」のリンクを最後に貼っておくので、気になる方はのぞいてみてくださいませ。

著作もぜひ!

今後、投資を受けたいと思っている人は、なにを準備すればいいかのヒントが見つかるかもしれません!


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