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「自分が欲しいものは、自分の目にいつも入ってくるものだよ」の話

「忙しい日がつづくと、毎日が生きることに精一杯になってしまって、何が一番やりたかったことなのか、忘れてしまうことがあります」
「そんなことは絶対ないよ」
 老人は強く言い切って、淹れたてのコーヒーに茶色い砂糖の塊を入れた。
「絶対って」
 私は苦笑いしながら、老人が出してくれたチーズケーキを口に運ぶ。疲れ切って何もしたくなくなる時だってたくさんある。そういう時は、好きなことも叶えたい夢も忘れてしまう。
「本当に欲しいものは忘れないよ」
 老人は繰り返す。
「どうしてそう思うんですか?」

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