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SICF21出展作「視覚的治療室」アート初心者のための鑑賞ポイントまとめ

東京都青山のスパイラルで開催中のアートフェスSICFも明日22日で最終日となりました。若いお客さんがいっぱい来てくださってとてもうれしい!ありがとうございます!

つくる側の人たちもみんなクオリティ高くて、そして親切!創る人たちの狂気がにじみ出てて、みなさん本当に素晴らしいなって思いました。いいフェスだね、本当に。

A日程は搬入中の経過をサクサク見てきた感じでしたが、今回は途中で自分のブースを抜け出して作品を拝見してまわりまして。

特に気に入ったのが「汚れ落としてるやつ」と「髪の毛」です。すごく学びも多い作品だったので、もう一度じっくり拝見して学んだことを追って書かせていただこうかなと思っています。

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今回の私の作品は「視覚的治療室」というタイトルでブース全部を二層の作品で覆ったものになります。

他のブースと比べるとちょっと光量落とし気味にしてるのですが、「治療室」というイメージなので、少人数で作品の内部に入った時に、作品世界の中にじっくり浸透できるように光を落としました。眩しいと本当に明るいんですが、その分「治療」というコンセプトからは外れてしまうんですね。

アート作品、解説が書いてある場合もありますが、基本的にはどこで見る時も作品単体と向き合うことがほとんどだと思うんですね。あってタイトルくらい。

最近のアートは分かりにくい、何から見ればいいんだ!っていう方のために、こういうところに気をつけながら観察すると、作品をよりおもしろく見られるかもというポイントをまとめました。

他のブースを見る時にもぜひ参考にしてみてください。

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1)展示物の位置

最初はブースに入る前の全体把握です。私みたいに作品1点だけという人は少なくて、だいたいみなさん、何点か出してるんですね。小さなブースの中にも作品それぞれが持っているストーリー性があります。

なので、どういうものがどの位置に置いてあるか、というのを気にしてみるといいです。作家さんに話を聞くと、だいたい「この作品はこういう意図」「この作品とこれがこんな感じで関わりあってる」みたいなのがあります。

作家さんがいなかったり、聞かずに自分で考えたい時も、まずはブース内に何がどう置かれているのか、というのを気にしてみるといいですよ!

※基本的にアート作品をちゃんと見るのはすっごく脳を使って疲れるんですね。なので私はざっと見て気に入った作品だけ死ぬほど見るという手法を取っています。全部おなじ濃度で見ようとすると、けっこう大変です。
また、SICF21はコロナの影響で1時間ごとの入れ替え制なんですね。なので、けっこうみなさん「時間がないー」っておっしゃってて。そういった意味でも今の自分にとってビビッと来た作品をじっくり見るというのが割とおすすめです。

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2)素材を見る

特に変わった素材を使っている作家さんは、その素材に「特定の意図」を持たせていることがあります。ある物体をつくるのに、粘土でもつくれるし陶器でもつくれるのに、木を選んでいる意図はなにか、みたいな感じですね。ほかの素材でも同じもの、似たようなものがつくれそうなのに、なぜその素材にこだわっているんだろうっていうのは、作品を読み解くヒントになります。

私の今回の作品は「写真」が基盤になっています。全部自分が撮影した写真なんですね。作品の背景には、私が現在突き詰めている「社会治療(みんなで社会を癒し、社会からみんなが癒される)」みたいなのがあります。

自分で写真を撮った場所は、私が関わったことがある「社会」なんですね。それぞれの場所に観光よりもちょっと長く、「暮らす」ように滞在していたことがあるので、地元の人ほどではないけど、ちょっとその土地の社会に関わったという私の実感が伴っています。

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3)変化に注目する

作品が複数ある場合には、作品の差を見ると、作家の意図が発見できることがあります。材質が違う、色が違う、着眼点が違う、みたいな感じです。

私の作品では、同じサイズの紙が並んでいますが中に書かれた「線」がだいぶ違いますね。密なところもあれば、ちょっぴりなところもあります。これは、作品写真が撮影された場所の道をトレースしているからで、大都市だとぎっしりと規則的な道が多く、タンザニアやモンゴルなどでは道は少なく、てきとうに伸びている感じになっています。

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言われないと「写真の土地の道」というのは分からないかもしれませんが、少なくとも写真ごとに線の引かれ方がだいぶ違うけど、てきとうに抽象的なラインが引かれているというよりは「意図的」な引かれ方だというのが分かると思います。碁盤目状にぎっしりだったり、星型が描かれてたりすることあるしね。

4)細かく観察する

私の作品、二層になっているんですが、意外と下の層を気にしない(気づかない)ことがあるんですね。「道ですー」って解説を先にしてるので、道に注目が集まっちゃうのもあると思います。

・下の層の意図はなにか(下層はその町の形と色を強調して同じ写真をペイントしている)
・上下が逆になっている写真があるのはなぜか
・違うエリアが隣り合ってるのに「道」がつながっているのはなぜか

こういうところにすぐに気づかれる方は、たぶん、普段からけっこう観察力高いんだろうなぁという気がします。特に写真の上下はすぐ気づいた方がいましたがすごいなぁと。

(アート作品を見るのは本当に疲れるので、私の作品にピンとこなくてちゃんと見ていないというのも全然あるはずです。自分はこれが好き!という作品を見つけたら、ぜひ、こんな感じで細かく作品を観察してみてください。きっと、好きな作品がもっと好きになりますよ!)

5)気づいたことを口にする

「あれ、写真の上下が逆だな」とか気づいたとしたら、すぐにそれを口にして見るのはとてもいいなぁって思います。こういうのがクセになってると、日常の違和感に気づきやすくなる気がするんですね。

あれ、昨日よりも卵がカタイ、とか。

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アート作品ってナゾいので、見てるだけで確かに刺激になります。でも、そういう刺激ってけっこう一過性だと思うんですよ。そうじゃなくて、そういう感性をふだんの自分の生活に活かすクセつけができると、アートと自分の日常が結びつきやすいんじゃないかなって思うのです。

簡単に言うと、今までなんとなく流していたものをちゃんとキャッチできるようになって、日常の感じ方が変わるんじゃないかなって思うんです。

アートは思考力を鍛えるにもとてもいいと言われていて、VTSという勉強法もあるので、もしよければ参考にしてみてください。

こういう勉強法を覚えておくと、自分の好き嫌いに関わらず、あらゆるアートが自分の日常を豊かに耕してくれます。

6)作家さんになんでも聞いてみる

SICFは会期が短いこともあり、けっこう作家さんがブースにいるんですよね。なので、「これなんですかー」って聞けばいっぱい答えてくれます。

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聞くことで作家にプレゼンの機会を与え、作家が育つという面もあると思いますし、自分はこう思ったっていう自分自身の感じ方を作家に伝えることは、作家が次の作品をつくる時に参考になることもあります。

私は自分が創る側なので、どうやって展示してるのかっていう設置方法や作品の素材なんかを聞いて参考にさせていただくことはすごく多いです。

自分も創りたい!という方は、作家さんたちの狂気と熱量に触れるのはとても楽しいと思いますので、お時間があればぜひサイトものぞいてみてください。

本当にいい作家さんが多くて、素晴らしかったです。改めて、こんな素敵なフェスに出展できたことに感謝しつつ、明日(9月22日)もがんばってきます!

ArtStickerの特設ページから気に入った作品に投げ銭できるので、このアーティストさんの作品、また見たいな!応援してる!と思えた方はぜひ、こちらのページからStickerという名の応援も試してみてくださいね!

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