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「欲しいものの後ろにある本当の望みに気づけたら思わぬ形で望みは叶うよ」の話
「結婚したいと言っていた男性がいてね。でも彼が本当に望んでいたことは、結婚じゃなかったんだ」
老人はサクランボの乗ったケーキにフォークを入れながら話し始める。
「結婚したいと言っていたのに、結婚が望みじゃなかったんですか?」
「そうだ。人間っていうのは、自分の望みを分かりやすい出来事に置き換えてしまうことがある。実はね、結婚したいと言っていた友人が同じ時期に三人いたんだ」
「へえ、すごい偶然ですね」
「ふふふ、なぜかそういうことは重なるものだ。お互いを紹介してしまおうかとも思ったんだけどね、三人というのはずいぶん微妙な人数だ。それで私は、三人の話を詳しく聞くことにした。そしたら全員、結婚は本当の望みじゃないことが分かってね。それぞれ自分の望みを叶えたよ」
「ええっ、どういうことですか?」
私は手にもった空のカップをテーブルに置き、老人に向き直る。
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