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デザイナー読書メモvol.10 D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

今回は最近日本でも様々な会社が出てきているD2Cに関しての本を読んでみました。
例によってこちらのフォーマットに則って感想をまとめています!


この本の概要をまとめると?

D2Cというと、「Direct to Consumer」の略と言うことで、問屋や小売業者を介さずに直接消費者に届けるというビジネスというのは想像しやすいと思います。本書ではその仕組みだけでなく、機能やモノのよさだけで勝負せず、世界観とストーリーテリングを武器とする、新しい競争優位の構築であるということを多数の事例を集めて紹介してくれる本です。

D2Cの定義を従来のブランドを比較した表です。

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 D2Cは2007年頃にその原型が生まれ、2013~2014年以降、急速に成長を遂げた。VCは2012年以降、D2Cマーケットに合計3,000 億円超を投じている。また、未上場でありながら企業価値が1,000億円を超えるユニコーンと呼ばれる企業も、D2C業界だけで7社も登場している(2019年7月現在)。化粧品、スーツケース、マットレス、メガネなど、テクノロジーと程遠い場所にあった商材を扱う新興企業が、AI やデータ分析などの高い技術力を武器に SNSを使ったマーケティングを行い、「世界観」のつくり込みと巧みなストーリーテリングによって、シェアを伸ばしている。


気になった事例の一つが「AWAY」というスーツケースブランド。

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自身をスーツケースの会社ではなく「旅の会社」と定義し、「旅をするライフスタイル」を売っているというところに魅力を感じます。
創業時、プロトタイプの完成が間に合わずリリースができなくなった代わりに、スーツケースと引換可能な予約券のついた書籍を販売したという逸話がブランドの姿勢を物語っていてとても素敵です。

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他にも多くのアメリカでの事例がこちらにまとめられています。

この本から得た学びは何か?その学びをどう活かせそうか?


・ミレニアル世代(1980~1990後半生まれ)は、X世代(1965~1980生まれ)と比較して大卒が多く、教育課程で社会問題や環境問題に多く触れており、「リサイクル」「ダイバーシティ」など倫理・環境に配慮したブランドを好む傾向にある。
→私もミレニアル世代に該当するのですが、そこまでこういった話をすることがないので実感はあまりなく。。ただ、SNSを見ていると自分より下の世代は一層倫理・環境に関心が高そうだなと感じます。
「ものが良ければ売れる」「広告がかっこよければ売れる」という時代は終わりに近づいてきているようです。

・日本では長らく続くデフレの影響で、「安くていいもの」があふれている数少ないマーケットである。リーズナブルで品位する感じるデザインを手に入れることができる。(無印良品・ユニクロなど)
→アメリカの事例では「価格が高すぎる&UXが悪すぎる」→「価格を安く&UXを改善」が多かったのですが、日本では安価で良いものが多いのでそのまま取り入れるのは難しい分野も多そう。

・プロダクトの品質自体はコモディティ(代替可能)な場合も
→ブランド全体の世界観で選んでもらうので、プロダクトの品質だけでは勝負していないということ。これにはモノも良くないと長い目で見て使用されなくなるのでは?と思ったのですが、私も初期不良や不便な箇所があってもappleのブランドが好きでずっと使用していることに気づきはっとしました。笑 appleは代替可能かと言われると違う気もしますが、ブランドの世界観でプロダクトを選択するということは大いにあるということです!

メディア自体が商品をキュレーションして売る、開発して売るということが起きている。
→確かに元々ライフスタイルを提案するメディアが、その視点でプロダクトも提案するのは自然なことのように思えました。

何に1番驚いたか?

・D2Cブランドが行うコミュニケーション「語りかけ→理解」
→瞬間的に印象に残るビジュアルや短いコピーではなく、「長期の関係」を築くための語りかけるようなコミュニケーションを、ポッドキャスト、雑誌、映像(映画)などの比較的長尺なメディアで行っています。これは本当にびっくりしました。広告・PR業界でのデザインは、いかに早く伝わるかということを重視することが多いように感じるので、今まであまり考えて来なかった視点です。濃密なコンテンツ制作ってしたことないかも…と考えさせられました。

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例:北欧、暮らしの道具店

・アメリカで伸びているファッションカテゴリーは「リユース市場」アパレル産業の全体の21倍のスピードで成長している。

この本から得た深めるべき問いはなにか?

・D2C課題として成長のキャップがあることとあるが、どうやって解決していくんだろう。(単純に疑問)

前回ブランディングの本を読んでいたので、比較的すっきり頭に入ってきました!まとめきれないほど興味深いことが多くあって、とても勉強になりました。



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