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レジリエンス(心の回復力)と性格の関係

生きていれば、思う通りにいかないことに遭遇することは、たくさんあります。
特に、変化の激しい現代は、”今まで通り”が通用しない事が多いので、壁にぶつかる事がたくさん起こります。

その度に「この問題は解決できるのか?」「この壁を超えていけるのか?」と考え、不安に襲われる事もあるでしょう。

特に感受性が強く、繊細な人は、一つのことをじっくりと深く考える事が得意なので、一度ネガティブに傾くと、底知れぬ速さで”ネガティブ思考”を深めていきます。

では、このような人は、心が折れやすい人なのでしょうか?
答えは「NO」です。
刺激に対する感じやすさは、決して心の折れやすさとは比例しないのです。
その理由をひも解いてみたいと思います。

感受性は心の強さを磨く

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感受性が強く、繊細であっても、粘り強さに磨きをかけていく人は大勢います。
怖がりであっても、いろんなことに挑戦していき、どんどん力をつけて成長していく人もいます。

それは、感じやすいがゆえに「なんとかしたい!」と模索し、深く思考。
結果的に、粘ることにつながる。
そうやって、心をバネのように成長させている人は、たくさんいるのです。

では、レジリエンス(心の回復力)が弱い人と、強い人との違いには、一体何があるのでしょう?
それは、その人が人生の中で積み上げてきた「体験記憶」かもしれません。

心の手当てはパターン化する

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皆さんは、心が深く傷ついた時、どうやってその出来事に向き合い、対処していますか?
ただジッと事が過ぎるまで耐え続ける人もいるでしょう。
また、自分の力でなんとか解決に向かいたいと努力を続ける人もいるでしょう。
つまり、向き合い方、対処の仕方には、パターンがあることに気づかれるのではないでしょうか。

ここで、ちょっとだけ、私のパターンをご紹介してみたいと思います。
私の場合、困った事が起こると、決まって「何か意味がある」と模索するパターンがあると思っています。
意味を見出すために、するべき手順にも、パターンがあるのです。

① 目を閉じて、意識を集中させて、何が起きているのかを、徹底的に掘り下げ続けます。
② 人が介する出来事であれば、その人の作られ方・性格も相当掘り下げて、出来事のカラクリを解こうとします。
③ その結果、問題を解決するためには、どんな選択が必要なのかを思い巡らすのです。
④ そして最後に、選択する時に頼るのは「直感」です。

これまでの経験から、論理的に考え尽くしたことより、直感を頼った方が正しいことを知っているので、言葉よりも早い、まるで映像を見ているような感覚で、判断を下していきます。
説明を求められれば、映像を言葉にして、選択した理由を解説していきます。
ちょっと変わっていますよね。(笑)

いずれにせよ、人によってパターンには違いがあり、理由も様々。
それは、これまでの経験から生み出し、築き上げた、オリジナルの「心の手当て」の方法なのです。

力を蓄える「心の手当て」

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人が成長するためには、経験は重要です。
特にやった事がない、初めての経験は、価値が高いです。
なぜなら、必ず、どんな小さなことでも「出来なかったことが、出来るようになる」という結果をもたらすからです。

もし、傷つくのが怖いからといって、挑戦を避け続けていれば、今のまま、これから先もずっと変わらないわけですから、成長は止まったまま。
ところが「力をつけたい!」と思う人は、どんどん挑んでいきますから、その差は歴然です。
会社であれば、人材採用担当者は、この心の姿勢を持つ人をどうやって見極められるかを探しているんだと思います。
私が担当者だったら、間違えなくそこを一番見極めようとします。

多くの担当者や経営者は
「仕事なんて、最初はできなくて当たり前」
それより
「出来るようになりたいの?」
「どれくらいそう思う?」
の答えを見極めたいと、探っているんだと思います。

赤ちゃんの心の鎮め方にヒントがある

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次に「心の手当て」方法についてです。
今のパターンから、もっと効果的な方法に変えていきたい場合、どうすればいいのでしょう。
そのヒントが、子どもの心の発達の中にあるので、ご紹介しますね。

子どもの場合、特に赤ちゃん時代の1年間は、不安な時にどうやって心を鎮めればいいのか、その方法を大急ぎで習得していきます。
その一つが「情動調律」です。

情動調律というのは、人と感情を響かせ合うことをいいます。
気持ちの波に乗ってもらいながら、徐々に波を鎮めていくのです。
感情を響き合わせてもらうと、荒々しい感情は穏やかになり、やがて「大丈夫」「怖がらなくていい」という気持ちが湧いてきて、世の中や他人に対して“信頼”を抱くようになるのです。

信頼できる人を見極め、人に近づき、全幅の信頼を寄せて身を委ねてみる。
この時に欠かせないものが「感情の波に乗る」なのです。
これはとっても大切なので、よく覚えておいてくださいね。

抱かれると心が鎮まる

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では、言葉を話せない赤ちゃんの場合、どうやって感情の波に乗ればいいのでしょう。
赤ちゃんが「心地よい」と感じられる、とっておきの方法が“スキンシップ”です。

カナダのマギル大学神経科学者マイケル・ミーニー教授が、ラットを使った興味深い実験を紹介しています。

子どもをなめたり、毛づくろいの回数が多い母親に育てられた子どものラットは、回数の少ない母親に育てられたラットよりも、ストレスに対して冷静に対処でき、行動も自信に満ちていて、社会性も豊かに育っている事が分かったのです。
そして、関わりが乏しく育ったラットは、常にオドオドしていて、自信なさげに成長していました。

では、なめる回数や毛づくろいの回数は、遺伝的なもので、親から子へと受け継がれていくものなのでしょうか?
親が神経質だと、子どももビクビクする傾向が高く、臆病で神経質な大人に成長していくものなのでしょうか?

この疑問に答えるべく、ある実験が行われました。
生後間もないラットを入れ替えてみたのです。

つまり、関わりが乏しい無関心の親を持つ子どもラットを、なめたり毛づくろいを盛んにする親ラットのところに、入れ替えたのです。
するとどうでしょう。
しっかりなめられ、毛づくろいをしてもらえたラットは、全員ストレスに強く、勇敢で、大胆で、自信に溢れた行動をとり、社会的行動の多いラットに成長したのです。

このことをヒントに考えると、レジリエンス(心の回復力)とは、過去の体験記憶で支えられているものであり、学習することで、いつからでも強化できる事がわかります。

特に「スキンシップ」と「感情の響き合い」がもたらす効果は計り知れません。
たとえ感受性が強くて、怖がりな性質を持っていても、それが武器となって、かえって意欲を引き出す体験を無数に積む事ができるからです。

いかがだったでしょう。
皆さんが、感じやすい性質をお持ちでしたら、また、お子さんが感受性の強い性質を持っているようでしたら、どうぞ心配しないでください。

感じやすいがゆえの模索と、経験値が高められ、その結果、粘り強さと知恵が豊富に蓄えられて、意欲的な人生を送る事が出来るようになります。

そのためには、ぜひ「スキンシップ」と「感情を響き合わせる経験」を意識してみてくださいね。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

SFRのHP①

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