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折原幸人と神楽木晴に、きっと私は一生感謝する

二人の男。
彼らはそれぞれ、私のことを「江戸川」そして「えっちゃん」と呼ぶ。彼らは疲れ切っていた私の心を癒し、潤し、そっと支えてくれた。

新生児

私には子どもが二人いる。女の子と男の子の年子だ。育児は大変、中でも一番大変なのは産んだ最初の一ヶ月だったような気がする。

「しあわせ〜天使〜」と微笑んでいる間に一ヶ月過ぎる幸せな経産婦もいる。しかし私は、人生で初めて、こんなに自分が自分ではないような、誰かのために自分の全てを捧げるような、そんな生活に脳が酷く困憊していた。

みんなあんなに幸せって言ってたじゃん。

私は出産が大変なのだと思っていた。しかしそれは完全なる誤解。いや、難産は別。だけど安産の場合はさほど出産にフォーカスは当たらない。

胎児を産道から出した直後から始まる泣き声の連続。新生児は笑わない。無表情でうねうね動いてウンチして乳飲んで寝て泣く。

上の子を産んだ時は、初めて見る生き物だと思った。私にとっては猫や犬の方が馴染み深くて、新生児はまるで未知の生き物だったのだ。

来る日も来る日も眠れない。一、二時間おきに起こされることは人生で初めての体験。最初の日から「え?嘘でしょ?」と衝撃を受けたのだ。

どうやって寝かしつけるのかも分からない。大学で教わらなかった。何より子育ては個人差がありすぎて合う合わないが多過ぎる。ネットの情報も氾濫している。あれこれ試すものの、ダメだった時の落ち込み方が半端ない。

おっぱいなんて飲んで当たり前だと思ったのに、まず吸うことが困難。口の当て方、頭の支え方、抱き方。とにかくクセがあるのだ、最初の授乳は。そりゃあ子どもも母親も初体験だから仕方ない。すっごく、すっごく、軌道に乗るまでが険しく、道のりは長い。

飲んでくれるようになっても、置くと泣く、置くと泣く。ひたすら抱っこ。ソファーから動けない。腕を動かしたら起きる。

私は腕の中で生まれたばかりの我が子を寝かしつけながら、ドラマを見ることしかできなかった。

2016年の男

2016年。そうして私の元へやってきた男が折原幸人だった。彼は私を「えっちゃん」と呼ぶ。幸人くんは、作家さんだけどスランプに陥っていた大学生だ。

とにかく可愛かった。校閲ガールで菅田将暉が演じた折原幸人が。私は石原さとみ演じる河野悦子同様、恋に落ちた。

それから毎週、私は彼を拝むことになる。

彼はそっと私をリードし、優しく隣を歩いてくれる。柔らかく、繊細で、しかし時に周りを無視して腕を引っ張ってくれる男だった。

私は初めて聞いた。

「大好きだよ」という告白を。

「えっちゃんのことが好きだよ。大好きだよ。」

私はこの瞬間から、男性の男性による男性のための「大好きだよ」という一言が大好きになる。こんなシンプルかつストレートさがあっていいものか。脚本家をど天才だと思った瞬間だった。

今までの告白のセリフ、何があっただろう?全ての恋愛ドラマの名場面を吹き飛ばすほどの力がこの「大好きだよ」には間違いなくあった。

2018年の男

1年半が過ぎ、私はこの世に二人目の命を産み落とす。片手に乳児、隣に一才児。泣く。二人とも母を求めて泣く。娘の嫉妬。息子の空腹。寝ぐずり。痛い、痒い、悔しい、構って。泣く、泣く、泣く。

上の子を優先して過ごすものの、動き回る一才児に首も座らないゼロ才児をどこまで連れ回していいものか。おんぶもまだ出来ない頃。

2018年。神楽木晴はそんな私の元へ舞い降りてきた。かぐらぎはると。「花のち晴れ」内、英徳学園C5のリーダー。(コレクトのCらしい)

これが何ともヘタレだった。F4にはいない新しいリーダーの誕生。強がりなヘタレ。一見、江戸川音のパーフェクトな婚約者を前に勝ち目がないように見える。しかし私は単純だから即刻恋に落ちた。

素直でまっすぐ、嘘つけない男なのであった。そんな熱血漢・神楽木を演じたのが今アイドル街道の先頭を突き進むKing & Princeの平野紫耀である。

私が彼の存在を認識したのはこのドラマが初めてだった。

え、何この力強さ。

子ども二人も産み落としといて、高校生の神楽木にハマる。

「バカかお前は。なんで信じねぇーんだよ。そんなの、一択だろ?合ってよーが、はずれてよーが、好きな女の言ってること信じなくてどーすんだよ。」

これを婚約者相手にブッ放つ平野紫耀が兎にも角にも素晴らしい。ガツンとやられた。平野紫耀のキリリとした眉が際立つ演技。

実力派とかそういう輪にはないけど、アイドルとしての彼のセンスを見た。

人を一気に惹きつける力が、握力が、半端ない。

ドラマが終わる頃にはもう三ヶ月が経ち、二人育児もなんとか回せるようになっていた。

折原幸人と神楽木晴。

この二人には一生頭が上がらない。

あの頃、私の側にいてくれて本当にありがとう。

今もう、上の子は4歳、下の子は3歳です。

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