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【ドラマ感想文】当て馬との別れは秀逸過ぎたし着飾る恋には理由があった

唯一見ていた「着飾る恋には理由があって」が終わった。

良かった。とても良かった。

こんな主人公、こんなお相手、こんな当て馬、こんな結末。
すべてにおいてブラボー。

とにかく良かったのは、くるみも駿もブレないところ。イライラするところがない、珍しい恋愛ドラマだったのだ。

普通、は?なんで?ってなる人物が一人くらいいてもいいだろうと思うのに、駿の元カノすらなんだかいい人であった。

恐ろしいのはラブストーリーとしての展開の早さ。今までにない。

1話で片想い相手の葉山社長(当て馬)が姿を消し、2、3話で同居男性(駿)と恋に落ちちゃう。

え、まだ2話だよ?と視聴者を置いていくスピードの中で2人の恋は駆けていく。

それももう、まっすぐに。

葉山や駿の元カノ・はなが出てきたものの、つまらないほどくるみと駿は揺れなかった。

じゃあ、話の本題は何?

となると、これはきっとただの「うちキュンラブストーリー」を描きたかったわけではないようだ。

生き方や価値観を描き切るための3話~10話だったのではないか。

本当に大切なものは何?
どうやって仕事に向き合いたい?

仕事や生き方に対する姿勢を、くるみも駿もお互いの姿にぶつけ合いながら探っていく。

振り返れば、その答えを見つけるために二人は恋に落ちたようなものだった。

そしてすごいのが、恋のライバル、当て馬、葉山がラストに向かうにつれ(もともとではあったんだけど)加速度的にいい男になっていく。

実際、8話9話の「追い源」(主題歌・星野源/不思議が追加で流されるラストの重要シーン)をさらったのは葉山だった。

いやーもうこれ、どっちに倒れても仕方ないよ。

そのくらい最終話に向かって葉山は完全にいいライバルになっていった。ぐうの音も出ない。実際ネット上派閥も5:5だったのでは?

え、そもそも最終回にこんなに惜しまれる当て馬っている?

葉山を追ってトルコ行きを決意した女がこの世にどれだけいると思って?

ラストのラストまで駿一筋だった私ですら、最終回、チラッと「ああ、葉山もめっちゃいい人だった・・・」と泣けた。

あれは泣けた。

泣けたんだ。くるみから葉山への言葉がストレートに胸をわしづかみにしてきて、それに対する葉山の返しもグッときて。

ああ、こういう当て馬との別れもあるのか、と。

めっっっっちゃ良かった。
正直、駿とのラストシーンを上回るグッと感だった気がする。

くるみは揺れなかったけど、視聴者は揺れたよな?

当て馬ながらもあっぱれ。向井理、強し。

ラストに、胸キュン。

私は、超ドS俺様とか壁ドン・顎クイには全く興味がない。そういう映画も漫画もドラマも見ない。見れない。いい男にモテまくる、とか現実離れしたストーリーも好きじゃない。

だから少し心配もあったのだが、この「着飾る恋」に至ってはしっかりと心理にアプローチした「胸キュン」だった。

強引さが微塵もない。むりやりこじつけるようなキュンを作らず、わざとらしさもなく、心のまま登場人物たちが動いた結果、視聴者をキュンとさせてくれる。

エンディング後に、「くるみの知らない駿」を視聴者にだけ見せてくれるオマケシーンは予想外にも重要な胸キュンポイントであったことは間違いない。

やはりこういった説得力のある理詰めの胸キュンが大人の心には響く。

「仕事から逃げるな」「後悔してほしくない」と厳しくも愛ある言葉をかけてくれた駿と、「いつも笑っていて欲しい」と底抜けに優しく見守り続けてくれた葉山。

対照的な二人の男と、価値観は揺れたけど、恋心は一切揺れなかったくるみ。

着飾る恋よ、楽しい春になりました。


”好き”を持ったことで 仮の笑みで
日々を踏みしめて 歩けるようにさ
孤独の側にある
勇気に足るもの
(星野源/不思議)


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