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パスツール研究所

その後、古城、庭園を3つほどめぐり、日が傾くころフランス、リールに到着した。レンタカーを返す場所を発見し、車の返却へ向かった。駐車場に着いた頃にはあたりは薄暗くなっていた。駐車場の管理人を探すが、すでにだれもいなくなっていた。少し慌てたが、ビルの二階に担当と思われる人がいてなんとか鍵と車を返すことができた。フランス語はほとんど話せなかったが、「ボンソワー、メルスィー」だけでなんとかなるものだった。リールに来た目的はパスツール研究所の見学だった。先輩の留学先であった研究所は翌日見学に訪れる予定だった。夜のリールの街を散策した。歴史を感じる町だった。でこぼこした石畳、狭い道、荘厳な建物たち。夜の帳にライトアップされたすべての物が、美しく静かに佇んでいた。辺りは昼間の厚さは去り、湿気の少ないあたたかな空気だった。研究室のボスのお宅に訪問したのは夜の9時頃だった。フランス語と英語に堪能なボスは僕たちを嬉しそうに出迎えてくれた。お家の中は、真ん中に昔は細い小路だったとおもわれる石畳が走っており向かい合う建物を屋根でつないで一つの大きな建物にした。そんな感じだった。交響曲が2回のステレオから流れていた。料理を作っていた奥様も現れ、シャンパンで乾杯した。これまでの旅の話、日本での生活について簡単に自己紹介もして夕食の席に着いた。テーブルクロスの上には所狭しと小分けのお皿が並んでいた。テーブルに着くとフレンチのフルコースが運ばれてきた。日本のレストランで食べるのとは違い、ワインがこれでもかと注がれた。みんなで3本ほど開けたあたりで、僕は眠くなりテーブルで突っ伏したまま寝ていたようだ。しばらくして先輩に起こされた。途中で寝てしまった無礼をお詫びし、おいしい食事に感謝してお家を後にした。ホテルへ移動し、チェックインを済ませたところまでは覚えているが、その後の記憶はない。

明日は、研究所の見学だ。

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