クリニック開院まで④

夏休み前の暑くなってきたころ、いつもと変わらず放課後は公園にいた。公園には滑り台、鉄棒、ブランコ様々な遊具があったが一番の楽しみは缶蹴りだった。公園からいなくなるヤツも続出する中、鬼の隙をみて缶を蹴りに向かうハラハラ感が好きだった。大体仲のいい6人ぐらいで遊んでいた。時には10人以上となることもあり、その時は野球をやった。多分ソフトテニスのボールだと思われるやわらかい白玉とビニールのバットで汗を流した。ここでもTは大活躍だった。9回まで終わると、みんなで駄菓子屋に行くのが決まりだった。公園のすぐそばに2つの駄菓子屋があり、いつもはより近くにあるK商店でガリガリ君を買っていた。お小遣いに余裕のある時はサイダーも買ったり、ビックチョコを買ったりした。時計を持っていない僕らは、薄暗くなってきたか、腹時計で時間を測って帰路に着くのであった。時には5時を過ぎてしまい、おじいさんに小言を言われるのであった。両親は共働きで5時半前に家にいることはまずなかった。

ある時、田んぼの中でオタマジャクシをとって遊んでいた。この日は時間の感覚がなく気が付いたら6時を過ぎていた。家に帰ったら、案の定カンカンのおじいさんがいた。今思えば心配してくれていたんだと思うが、早く両親が帰ってきてなだめてくれるのを期待していた。オタマジャクシは持って帰ってきたのか、その場で逃がしてきたのか全く記憶にない。

あの当時は寝室にエアコンがなく網戸で涼をとっていた。汗だくのランニングシャツ、蚊取り線香のにおい、カエルの合唱が夜八時半の寝室の思い出だ。

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