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クリニック開院まで②

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現実だったか、夢の中だったかはっきりしないが幼稚園バスに乗ってブドウ狩りに行った。普段、幼児の足でも徒歩2分の実家からの登園でバスに乗ることはなく、「じゃじゃ丸、ピッコロ、ポロリ」を見てからおじいさんと手を繋いで歩いているはずだ。バスに乗った記憶があるのは恐らく夢ではなく現実のことだったのだろう。後ろから2列目の窓側の席の光景が思い浮かぶ。

今も実家に帰ると、幼稚園が見える。昔とは違いコンクリリートと芝生のコントラストが鮮やかな建物に変わっている。昔のように大きな声ではしゃいでいる園児の声や、オルガンの音は聞こえないのは昔よりも防音の効果が高いのであろう。きっと園内はあの頃のように賑やかなことだろう。

鮮明に覚えていることもある。真冬の朝、遊戯室での寒風摩擦だ。園児全員上半身裸になってタオルで体をこすった。手加減を知らないやんちゃな子は大体首の周りをやりすぎてやけどする。寒風摩擦が終わるとそのまま、遊戯室内の周回レースがはじまった。競争しているわけではないが、なぜかみんな全速力で走った。


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