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本命の推しと2番目の推し①2022/02/01

私には2番目の推しがいた。

同じグループ内に、本命の推しと2番目の推し。

2推しは元々韓国で活動していたアイドルで、Mカウントダウンにも出たことがあるグループ出身だ。
私はそのグループを箱推ししていて、何度も韓国に行っていた。
そのグループが契約終了後しばらくして、新しいグループで活動することを発表したのだ。

2推しが新大久保に来ると知った時、とてもショックだった。
新大久保アイドルのイメージといえば、接触系の特典会やホストまがいの人たちというものだったから。
2推しがそんなことをさせられるのかと思うと、とても心配だった。
真面目で努力家で、アイドルというよりはアーティスト志向だったから、新大久保に来たら心が砕けてしまうのではないかと心配だった。

ショーボックスの公演を見に行って、私は2推しの隣にいた青年に堕ち、ファンになった。
だけど2推しのことを心から応援したいと思っていたから、私はその2人を同じように推そうと決めた。

特典会も毎回2人のチェキとサインを行い、グッズも2人のグッズを買う。

新大久保ヲタクの間では、2推しというと良くないイメージがある。(私がそう感じるだけかもしれないが。)

本命の対応に満足出来ないから、2推しを作るパターンと、
本命の推しに嫉妬させるために、2推しを作るパターン。

私は、他のヲタクたちにどう思われていただろうか。
新しく知り合ったヲタクから私はよく、どっちのファンなのか訊かれた。
その度に私は2人とも好きだと答えた。

本命の推しが私のトキメキの対象だとしたら、2推しは過去の思い出を共有する同志のような感覚だった。

サイン会ではよく元のグループの時の思い出話で盛り上がった。
あの時こうだったね、あいつは今ダンサーとして頑張ってるよ、そんな平和な会話。
時々、元のグループの曲を歌ってくれることもあって、懐かしくて胸がいっぱいになる。

2推しはメインボーカルであり、ダンスも上手く、話し上手でグループのリーダー的な役割、歌う時はファンに満遍なく目線を送る完璧なアイドルたった。

本命の推しはサブボーカルで、ダンスは、、、贔屓目に見ても平均点。客席に目線を送ることが苦手で、機嫌の良し悪しが顔にすぐ出てしまう未熟な所があった。

どちらが本命か、私はずっと態度には出さないように努めていたが、2推しがリーダー格だったから、どちらかと言えば2推しを優先させることがあった。

チェキを撮る順番も、2推しが先で本命が2番目。
本命の推しが名前を覚えてくれてからも、それは変えなかった。

その日の公演や特典会のことをヲタ友と報告し合うとき、彼女によくこう言われた

「2推しは、自分が2番目ってわかってるわね。
優しすぎて何だか切ないな。」

2推しの言葉や態度から、そう感じると言っていた。
私も、自分では態度には出さないようにしているつもりだけど、2推しはわかってるような気がした。

だけど、ただの1ファンがどちらの方が好きかなんて、アイドルにとっては些細な事じゃないかと思っていたし、本命の推しに対しても私はアピールをするような事もせず、2人の曖昧なファンでいることを続けていた。

曖昧でいる方が気が楽だったし、どちらかを選ぶ必要性も感じなかった。

ある時1人で公演を見に行ったのだが、そこで新しいヲタ友が出来た。
彼女はヲタクとしての経験が豊富で、ファン同士の人間関係に詳しかった。

私が2推しの昔からのファンであることも知っていた。

彼女との出会いは、私にとって大きなターニングポイントになった。
もし出会わなければ、私は最後まで曖昧なファンのまま終わっていただろうと思う。

ヲタク同士の争いも、メンバーたちが受けている苦しみも、何も知らないまま。

②へ続く

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