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ちおこ旅2日目 レポートNo.1
ちおこ(地域おこし協力隊)メンバーの仕事や生活などを知り、ちおこ募集事業者を巡る旅「岩手県・大槌町 ちおこ旅」。
今回の旅もいよいよ、メインとなる2日目を迎えます。
先輩ちおこ・先輩移住者に出会い、参加者の皆さんはどう感じたのか…。
盛りだくさんな一日のため、まずは前半の出来事を振り返っていきます。
ちおこ旅 2日目(1月28日)…前半
■9:00 「おしゃっち」に集合し、地域の人とラジオ体操
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この日もたくさんの方が集まっていたので、飛び入り参加!
数台の車に分かれて乗り込み、町の北部にある吉里吉里地区を目指します。
■9:30 先輩ちおこと「吉里吉里国」で薪割り体験
薪の生産や販売、森林の保全整備や環境教育などに取り組む「NPO法人吉里吉里国」。
所属する先輩ちおこの川原田さんと大邉さんが出迎えてくれました。
移住後に初めて林業に携わったというお二人の指導で、さっそく薪割りを体験します。
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最初こそ苦戦した参加者の皆さんでしたが、短時間でコツを掴み、軽快な音と共にたくさんの薪が出来上がっていきました。
薪割りを終えると、いよいよ話題は確信へと迫ります。
なぜ二人は、見ず知らずの大槌を選んだのか。
なぜ、林業を選んだのか…。
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川原田さん(写真左)と大邉さん(写真中央)のお話を伺います。
川原田さんは神奈川県の出身。
理系の大学に入り、大学院を経てメーカーの研究所に就職しました。
社会人として長く働き続けていく未来を考えたとき、
「このままいくと、よくないな…。自然と共にスローライフをおくりたい」
漠然と、そんな思いが募っていったそうです。
お父様が岩手県沿岸の出身だったご縁から、この旅のような“お試しちおこ”をきっかけに、大槌町にやってきました。
現在は「吉里吉里国」で林業に携わりながら、ちおこ仲間と畑作業も楽しんでいるそう。
「半林半農…時期や気候に合わせた仕事や働き方を組み合わせて、本当の意味での“百姓”を、自分なりに目指して生きていきたいと思っています」
着任から約2年。もうすぐ始まる、ちおことして最後の1年を前に、川原田さんは確かな決意を語ってくれました。
大邉さんも、同じく理系大学の出身。
地元の三重県で、建設業に従事していました。
結婚し、安定した仕事と生活をおくる一方で、理想とする暮らしとのギャップを感じながら働き続けていたといいます。
「体験・経験・出会いなどの“お金では買えない、生み出せない何か”。自分が思う“本当の豊かさ”が、地方にはあるのではと考えた。もちろん奥さんの反対もありました。自分や家族が、どういう人生をこれから歩んでいきたいのか。しっかり話し合って決断したからこそ、今があります」
大邉さんの詳しい記事はこちら
林業で食べていくのは、やはり厳しいですか?
川原田さん)はい。林業は、植え付けてから、育てて、切ってというサイクル。それが50年規模で、世代を越えて取り組んでいくというもの。そこに更に、重機などのお金がかかる設備や、危険も伴う。なので、単に材料を生み出すだけでなく、いかに多面的な価値を作っていくかが大事。「吉里吉里国」では、ツリークライミングなどの体験を生む仕事にも取り組んでいる。私も大邉さんも、森林インストラクターの資格を取った。虫・木の実・キノコなども含めた自然として、森林の良さを伝えていけたら。
大邉さん)薪や木材に付加価値を付けることも大事。例えば、森林保全活動で切られた木です、とか。仕事で出会った先輩の「林業に関わる仕事を、一生かけて100個作れたらいいね」という考え方に感銘をうけた。まさに、こういうことだと思う。林業には、本当に色々な仕事がある。先輩たちは、自分なりの関わり方を見つけて、楽しんで仕事をされているように思います。
移住する上で、大切なことはありますか?
大邉さん)自分が思い描いている働き方を、受け入れ事業者としっかり擦り合わせること。これが後々尾を引いてくる。あとは、移住のコツ的なことで言うと…大槌を変えてやる、と思う必要はないです。移住者だからと気負いすぎず、まずは自分が楽しむことを大事にしてほしいです。
「NPO法人吉里吉里国」の詳しい記事はこちら
■ 吉里吉里の海を間近に感じる公園「フィッシャリーナ」散策
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「え~!どれどれ?!」と女子たちが集まってきました。
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■12:00 先輩ちおこが住む古民家で昼食
薪割りと散策で疲れた体と、ペコペコのお腹を抱えて辿り着いたのは、吉里吉里地区の高台に建つ古民家。
庭から望む海が自慢の、先輩ちおこ・橋本さんの自宅です。
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参加者の皆さんのために、同じく先輩ちおこの山﨑さんと、スタッフのかずきさんがお昼ご飯を作ってくれていました。
メニューはカレーライスと、大槌復光社協同組合が手掛ける「桃畑学園サーモン」を贅沢に使ったクリームコロッケ。
このコロッケ、なんと山﨑さんが開発したメニューなんです。
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山﨑さんと、山﨑さんが働く「ねまれや」の詳しい記事はこちら
広報おおつち 2023年11月6日号
居・食・自由 第15回「ふるさとを味わう」
ここで更に、先輩ちおこの喜嶋さんも合流。
皆でおしゃべりをしながら、山﨑さんの手料理を堪能しました。
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お腹が満ちたところで、橋本さんと喜嶋さんのお話を聞きます。
■ 大槌でデザイン?新卒でやってきた二人の先輩ちおこ
橋本さんと喜嶋さんに共通するキーワード。
それは「デザイン」と「新卒」でした。
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橋本さんは大学院生で、研究分野は建築。
現在は休学して、大槌町でちおことして活動しています。
勤務先の(一社)おらが大槌夢広場「大槌町移住定住事務局」では、移住コーディネーターとして空き地・空き家情報バンクなどを担当。
長く空き家だった古民家に、自らも住みながら、移住希望者や移住者の生活に寄り添っています。
今回のちおこ旅に運営側としても携わっており、既に参加者の皆さんと打ち解けていただけに、橋本さんに熱い視線が注がれます。
「この家は、ご縁あって紹介して頂いたもの。庭のアジサイと、海が見える景色…田舎ならではの、はっきり季節を感じられるところを気に入って、ここに決めました。シロアリが出たり、湿気で本がカビそうになったり、夏は暑くて、冬は寒くて寝られなかったり…。古民家で暮らすって、こういうことも含めての暮らしです。大変なこと、驚くこともいっぱいありますが、全て“アトラクション”として楽しんでいます」
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一方、フラっと現れた謎の新キャラ・喜嶋さんは少し違う考えのようです。
「そりゃ古民家に興味はありますけど…今はいいかなって。手を出したら、お金もかかるし、仕事してれば帰って寝るだけだし」
そう言ってバツが悪そうにはにかむ喜嶋さん。
「今はアパートに住んでいます。移住してくる時に、マンガ部屋が欲しいっていうのも条件でした。自分は見ての通り、暑いのも、寒いのも、肉体労働もちょっと嫌なので…」
飾らない喜嶋さんのお話に、皆さんも思わず笑い合い、空気が和らぎます。
専門学校でグラフィックデザインを学んだ喜嶋さんは、在学中にデザインを使った町おこしなどに取り組んだ経験から興味を持ち、埼玉県からの移住を決意。
大槌を選んだのは、海への強い憧れと、アニメ映画「岬のマヨイガ」がきっかけでした。
そんな喜嶋さんが働くのは「(一社)大槌町観光交流協会」。
主にイベントのチラシやポスターのデザインを担当しているそうです。
喜嶋さんが働く「大槌町観光交流協会」の詳しい記事はこちら
新卒での地方移住…不安はなかった?
喜嶋さん)埼玉と大槌で、別に生活のサイクルが変わったわけではない。自分の好きなことを仕事にできるという点では、都会よりもメリットがあると思いました。新卒なので、もともと分からないことだらけ。人に聞いたり、助けてもらうことに抵抗がない性格なのもあって、そこまで不安には感じませんでした。
橋本さん)自分もキッシー(喜嶋さん)も、ジャンルは違うけど“デザイン系”なので、それもあるのかな。小規模のデザイン会社や建築事務所って、新人研修とかある訳じゃないし。都度、先輩に聞いて教えてもらわなきゃいけないだろうし…。“周りに聞いて、助けてもらう”ことが必要という点では、地方移住も一緒なのかもしれませんね。
都会に外注できる「デザイン」。なぜ大槌に住み、生業にするのか
喜嶋さん)実際に住んで、大槌町のことを知っているからこそ、その商品の良さや、地元の人の思いを込めた、本当の意味での“大槌町を伝えるデザイン”ができると思います。ただ、近隣に同業者が少なく、寂しさを感じることもあります。切磋琢磨が難しかったり…。
橋本さん)その分、大槌や地方のデザインは、オリジナリティの高さが強みになっているのかもしれません。僕個人としては、町内の設計士さんをアルバイト的に手伝わせてもらっています。大学で得たスキルの維持にもなりますし、新たな学びも多いです。
移住後、古民家に住みたい人へのアドバイス
橋本さん)「移住定住事務局」としては、まず1年、アパートで暮らしてみて、そこからの検討をお勧めしています。どこの地域の古民家にするか…紹介してもらうとして、そのコミュニティが自分に合っているのか…。家賃が安くても、暖房費やガス代がかさんでしまったりもします。実体験としては、お風呂のボイラーが壊れていて、直すのに6万円近くかかりました。また、家主さんや前に住んでいた方の家具がそのままになっている家が多いです。処分してもいいよ、と言われても、費用は自分持ち。駐車場が無くて、近くに借りなければいけないこともあります。とにかく初期投資は覚悟してください。…とは言え、長い目で見れば、安い家賃で節約できた面も含めてトントンだったなと思っています。僕は今の暮らしを後悔していません。
二人の話が終わると、古民家の和室に少しの沈黙が流れました。
「自分の仕事に対する考え方など、まったく自分には無いもので…。驚きましたが、とても勉強になりました」と振り返る、参加者のウメちゃん。
「なんかすみません、自分はこんな自由な感じで」と笑う喜嶋さん。
「明日のことは明日考える。失うものも何もないし。たくさん人を頼って、いっぱい助けてもらうけど、自分にできる“デザイン”で必ず恩返ししますね…って、そういう気持ちで生きています。なので、あまり気負わないでくださいね」
その様子を見て、橋本さんは「キッシーみたいに、未来の先行き不安定さを“良し”とする…むしろ自分から楽しめるかどうか。地方移住では、これもポイントになってくるのかもしれません」と笑顔で結びました。
橋本さんと喜嶋さんは、地域の人に「しょうがねぇな、やってやるか」「面倒みてやんなきゃ!」と、親しまれている一面も。飾らず自然体な人柄や、気を張らないしなやかさに、こちらも肩の力が抜けていきます。
従来のちおこや、地方移住者のイメージとは一線を画す二人の姿は、参加者の皆さんの目にとても新鮮に映ったようでした。地域における、ちおこや移住者の姿というのは、メディアに取り上げられている“事例”にどうしてもイメージを引っ張られがちです。誰かを参考にはしても、お手本にする必要はない。自分なりの姿であっていいのだ…。そんな橋本さんと喜嶋さんのメッセージは、きっと参加者の皆さんを支え、寄り添い続けていくのだと感じました。
さて、ちおこ旅2日目。
驚くことに、この熱量でまだ午前中です。
皆さんにもっと大槌での暮らしを知ってもらいたい!…と登場する先輩ちおこ・移住者たちは、まだまだ増えます。
そろそろ人物相関図でも欲しいところ。
次回は、ちおこ旅2日目の午後についてまとめます。お楽しみに。
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