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涙を流した火星人たちは、さっきまでの詩をもう忘れている。 「はるかなる、砂の……ふるさと…
目の前に置かれたのは、もっちりした黄金色の焼き芋だった。僕は皿を置いたウェイトレスが奥に…
火星の星占い師のカバコフは、ある不吉な夢を見た。 たくさんの喉ちんこ状の物体の垂れ下がる…
火星アンドロイドのタブロイド紙の発行部数は、年々減少した。 その原因は売れなくなっていた…
「火星天国」について聞いて回ってらっしゃるんですか?いや、いいんですけどね。僕はもう忘れ…
「火星天国」って店ですか?知ってますよ。一度だけですけど行ったことあります。てゆーか、ど…
君の心になにが起こった?ロボット・ロバータ。 まるで複製されたコピー用紙みたいに、君は同じ単語を出力し続ける。ロボット・ロバータのCPUはそんなに高性能じゃないから、このままだとフリーズしてしまう。 強制終了だけはしたくないんだ。だから、いったん君からの出力を止めて欲しいんだ。ロボット・ロバータ。 君は火星でもすごく旧式のアンティーク型ロボットだから、もう交換部品も用意できないんだ。わかるかい? 君がどんなに暴走しようと、僕は君を止めてみせる。それが僕の仕事だし、古物
おい、火星の乾いた大地の奥底にひそむ、名もなき兵士たちよ。 埋もれたまま弔われることもな…
やばいなあって思ったんだよ。 世の中には触れちゃいけない事柄ってのが必ずあって、そいつは…
何度、あたしが足を運ばせれば、気が済むっていうんだい?都市に入るための入口が、しっかりく…
俺たちは数なんて数えない。せっかくの乾ききった場所が、湿気た気分で台無しになるからだ。さ…
僕たちがマエストロ・スージーに出会ってから、まだ3年しか経っていない。よれよれのTシャツに…
とても珍しい発見だった。古代遺跡としては異例の、掘削されたものの発見だった。 これまでの…
タオルはいつも正直だ。いい加減に洗濯をすると、すぐわかる。薄汚れていたり、匂いが鼻についたりする。 今朝は乾いた風がベランダを吹き抜けていく。人工降雨の不自然さにうんざりし続けていたので、久しぶりに爽快な一日のはじまりだ。 明日は朝から雨、明後日も一日雨。一週間ずっと雨。天気予報も言っていた。 * 9時18分、やっぱり電話のベルが鳴った。「ねえ、聞いてよ」と友達の痴話げんかの顛末を、これから一時間も聞かされるんだ。だから、あえて受話器を取らないで置いた。こうすることで