海で、ひとりぼっちになる

ふと、海へ行きたくなる

そう思うときは、たいてい
現実逃避をしたいときだ

たったひとりで
電車に乗ってみなみへ、みなみへ
のどかな風景のさきに、水平線が顔を出す

海ですることは
「おもう存分、海を感じること」

波の音に耳をすまして、風を感じ
もふもふした砂浜のうえを歩きながら
きれいな貝殻をさがす
水平線をゆっくりすすむ船や
遠くの景色をぼーっとながめる

そして、大きな声で叫ぶ

海の楽しみ方は無限大だ

広大な海を眺めていると
こころにぽっかりと穴が開く
私は今ここにたっているのに
世界から私の存在が消えてしまったような…

私だけがここにいる

さびしくなんかない
むしろそれが心地よい

海を離れる前にもう一度大きい声を出して
私の存在がここにあることを確かめる

あああーーーーーー！！！！！！

何度も叫ぶ
日頃の不満や悩み、嫌なこと全てを
唇を舐めるとなんだかしょっぱい

さあ、暗くなるまえに帰ろう
名残惜しいけれど、またこればいい

それでは

おとわ

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