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なぜ、こどもの「やる気スイッチ」は長続きしないのか。(2)

前回は、息子のレスリングに対するやる気が無くなった原因について探りました。

原因として、私は子どもの身になって考えられなかった事で、誤った要求をしてしまった事だと考えました。では、どうすれば良かったのでしょうか。
手がかりになるのは、心理学者のデシとライアンが述べた「内発的動機づけ」です。

更に、心理学者のレパーとグリーンは、「自律性」「有能感」「関係性」が満たされているときに限り、内発的動機づけは維持されると述べています。

その3つの要素は、わかりやすく整理すると以下の様なことです。

子どもが自律性を実感できるのは、自分で好んで選び、自分の意思でやっていると実感し、親からやらされていると感じさせない時です。
また、有能感とは、子どもにとって達成する事が簡単過ぎない、少しだけ自分の能力を超える課題に挑戦している時です。
さらに、関係性とは、人との繋がりを指します。それについては、子どもにとって最も身近な親から好感を持たれ、価値を認められ、尊重されていると感じている時です。

今にして思えば、私は偶然にも上記が少し当てはまる奇妙な経験をしていました。

息子は、レスリングと同時期にピアノを習っており、先生も優しくピアノ自体も楽しんでいました。しかしながら、年に一度のピアノの発表会が迫っているというのに、なかなか練習しません。
そこで、なんとなく思いついたのが、練習ポイント表です。姉も一緒にピアノを習っていたため、練習をすると1ポイントずつ表に丸をつけて競う様に積み上げてくれることを期待しました。少しでも興味を持ってもらうためにポイント表には、キャラクターなどを描きこんで楽しげなデザインにしてあります。

すると、何も言わなかくてもどんどん練習をやりだすのでした。ポイントが貯まる事で何も見返りがないのに、ポイントを貯める事自体を楽しんでいる様です。少し本人にとっては難しいかなと思っていた選曲も、自分で選んだからなのか後悔することもなく賢明に練習を続けます。日々上達する2人を毎日の様に応援しました。
ご想像の通り、発表会での2人は、感動的な演奏をしてくれました。

前回説明のレスリングとは打って変わり、ピアノは大成功の結果となりました。
同じ時期の習い事で、このやる気の違いは何なのでしょう。父親が深く関与したレスリングでは失敗し、ちょっとした工夫だけ施したピアノでは、自発的な子どものやる気が成功に導いてくれました。

この結果の違いに、何も知らなかった当時の私は戸惑うばかりです。

「やる気スイッチを持続させる」のは、内発的動機づけなのかもしれません。
でも、この内発的動機づけの様な内側にある事は、学校のテストと違って簡単に測定ができませんよね。分かりづらいから難しいのです。
私たちの挑戦は、まだしばらく続きそうです。。

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