見出し画像

【旅の記録 #25】 珈琲屋のマスターとの出逢い(長崎)

これは、2008年のお話。

自分のやりたいことが分からず、悶々と過ごしていた20代。そんなときに、旅先で訪れた珈琲屋さんがありました。

その珈琲屋さんのマスターに、「やりたいことが分からないんです」と話してみたところ、とあるアドバイスをくれたんです。

13年経った今、本当にそのアドバイス通りだったのかもしれないなあと、振り返りながら、長崎の旅を思い出してみました。

____________


旅の記録 episode.25

長崎 編


大親友が
「長崎へ、ちゃんぽん食べに行きたい」 
と、わたしに言った。

長崎の旅は、そんな不意の会話から始まった。

画像1

2泊3日の旅。初めの1泊は親友と2人で。そのあと、親友は仕事のため先に帰阪したので、残り1泊は1人で。

そんな旅をした。


画像4

まずは、東山手という街を歩く。

大浦天主堂という教会は
現存する木造ゴシック様式の教会のなかで
もっとも古く、国宝に指定されているそう。

画像3
画像4

長崎名物、カステラ。

一度長崎のカステラを食べてしまうと、他のカステラが食べられなくなる。(くらい美味しかった。)カステラは冷凍庫に入れておくと、よりおいしくなるそう。


***


長崎は、ちょっとしたところに 見どころ満載やから、見逃したくない。

画像5
画像6
画像7
画像8
画像9
画像10

有名なグラバー園へ行く。

幕末から明治にかけて建てられた洋館が集まる場所。

画像25
画像26
画像27
画像28

グラバー園には1つお楽しみがあって。

画像29

この石畳の中の2箇所に
ハートの形をした石が埋められていて
それを見つけて石をなでると
恋が叶うと言われている。

どこかなあと探していると、向こうの方で女の子たちが
「あったー!!」 と叫んでいた。

おっと、、、

1つ目は自分で探すことができなかった。

画像30

若干やる気をなくしてしまったけど
無事、2つ目は自分で発見した。 

画像31


当時、恋をしてなかったから
次の恋に繰り越した。


角煮まんは、相当おいしかった。
長崎でならどこにでも売っていたけど 
グラバー園で食べることをお勧めしたい。 

画像32

 オランダ坂をのぼっていく。
長崎は石畳の街だ。

画像11
画像12

坂を上がっていくと活水女子大学がある。

画像13
画像14

ちょうど安藤裕子さんのライブ日程と合わせて行ったので、大学内にある教会でのライブを堪能した。綺麗やったなあ。

***


そして夜ごはん。

ついに、親友念願の、ちゃんぽん。

お土産屋さんの方に
美味しいちゃんぽん屋さんを教えてもらっていた。
長崎駅前にある「かたおか」というお店。 

画像15

ちゃんぽんと皿うどん。 

画像16
画像17

お土産さんの言う通り、絶品やった。


***


長崎は夜に回れるスポットが多い。

街を一望できる稲佐山。

画像33
画像34

夜景を写すのは難しい。昼間にも見てみたい。

そしてこちらは、眼鏡橋。

画像35


橋が水面にくっきり映り、眼鏡になる。

しばし見とれて
夢中で写真を撮っていたら

タクシーのおっちゃんが話しかけてきた。

(この時は、1人旅)

「今、眼鏡は縦長に見えるやろ?
 でも明日の朝になったら眼鏡がまん丸になるけん。
 満潮と干潮で眼鏡の形が変わるけん。」

あ、けんけんゆうてはるな。
と、少し長崎を感じながら話を聞いていた。

「どっから来たんや?
 どっか行きたいとこあるんか?
 今は仕事中やけんな、携帯の番号教えといたる。
 非通知でいいけんな、わからんことあったら
 いつでもかけてき。」

まあ、なんと親切な方。
親切なんか?なんなんか?
ちょっとだけドキドキした体験。

(もちろん、電話はしていない)

そしてその後、

ガイドブックで目つけていた珈琲屋さんへ足を運んだ。

南蛮茶屋というお店。

画像36


江戸時代の民家を改装したお店で
外観も内装も、めっちゃノスタルジー。
タイムスリップしたような感覚に陥った。

昔、日本にコーヒーが伝わった当初は
コーヒーのことを南蛮茶と呼んでいたそうで 、その南蛮茶を再現したコーヒーが置いてあった。

画像37
画像38

飲みやすくて、おいしかった。


***


さて、そうそう。

ここで、冒頭の話になる。

この南蛮茶屋で
とても運命的な出会いを果たしたわけだ。


帰り際、
「素敵なお店ですね。」
と話しかけたことがきっかけで
マスターとのお話が始まった。

「どこから?」
「大阪から来ました。」

すると、少し大阪に詳しいような感じがしたので

「大阪に来られたことあるんですか?」
「だいぶ昔、大阪で7年ほどサラリーマンをしてたんですよ。」

こんなに素敵なお店を開いてるマスターにも、サラリーマン時代があったんやということに驚いた。

いま素敵なお仕事をしている人が
初めからそのお仕事をしていたわけではないんだな、としみじみ感じた。

マスターに、南蛮茶屋をはじめたきっかけを聞いてみた。

「縁ですね。人との出会いがきっかけかな。 世の中で大切なのは人との繋がり」

と話してくれて。

なんだかとても素直に、

自分も、もっと色んな人に出会わなきゃ、
色んな人から刺激と縁をもらわな、って
そう思うきっかけになった。

驚いたのが、
サラリーマン時代どんなお仕事をされていたのかを聞いてみると
なんと、当時わたしが働いていた会社と
よく取引のある会社に勤められていたということで
さらに親近感が沸き、話がはずんだ。
世の中は狭いというか。
運命的というか。


「自分の向いている仕事が何か分からなくて 、悩んでいるんです。」

と、相談をしてみると
優しく答えてくれた。

「自分のやりたいことを探すとき、
 やりたいことだけを追い求めがちだけど
 色んなことをやってみて
 これは違う、これも違う、と
 1つずつ消去していってもいいんじゃないかな。
 最後に残ったのが、自分のやりたいことだったりするんじゃないかな。」

「100の中から1つを選ぼうとして、
見つかるならそれでいいけど、見つからないなら
1つずつ減らしていって、最後に1つ残す方法もある。」

と話してくださった。

多分、99経験するには人生足りないやろうけど
ある程度減らせたら、だいぶ自分の方向性は見えるのかなあ。
50くらいまで減らせたら最後の1つは見えてくるのかなあ。

そんな風に思った。

***

わたしは長崎に行く前まで
自分にははっきりした夢がない、と
少しばかり焦っていた。
会社員として、今の仕事をしていて将来何につながるのか?と、疑問の連続だった。
早くやりたいことを始めなきゃ、と
ない夢を追い求めてばかりだった。

でも、そんな焦りが少しだけ緩和した。

もちろん、すぐに焦りがなくなったわけでも、悶々とした気持ちが消えたわけでもない。それからも、たくさん悩み続けたと思う。

***

いま、この記録を書きながらマスターの言葉に重ねて、自分のこれまでを振り返ってみる。

OTO OTOという作家活動を7年ほど続けられているわけやけど、その前には、アパレル企業や文具メーカーで働いてみたりした。

大学を出てすぐ、服が好きだという理由でアパレル企業に入った。だけど、私は服が好きなだけで、服を仕事にしたかったわけではないことが痛いほど分かった。

文具メーカーでは営業の仕事をしてみた。割と楽しかったけど、何年かやった後に、それ以上営業としてやりたいことがなくなって、自分は生み出されたものを売る仕事ではなく、自分が生み出したいんだと改めて感じた。

そのあと少しウェディングの仕事に興味を持った。それは当時、友人の結婚式の二次会の幹事をすることが多かったから、という単純な理由で。二次会を企画するのがとても楽しかったので、仕事にしてみたらどうやろう?と考えた。

知人の紹介で、ウェディングの仕事を体験する機会が何度かあった。仕事としての体験をする中で、これは、新郎新婦のやりたいことを叶える内容なんじゃないかと感じるようになった。きっとすごく幸せな仕事に違いない。けれど、やはりわたしは、自分がつくりたいものを作りたいのだと、改めて思うきっかけになった。

珈琲屋さんのマスターのお話のように、

色んなことをやってみて
これは違う、これも違う、と
1つずつ消去していけたように思う。

そして、最後に1つが残った、とまではいかないけど、1つずつ消去していくのと同時に、自分のやりたい方向がだんだんと見えてきたような気がする。


わたしは今、OTO OTOをやっていたい。

これに尽きる。

決して、初めから見つけたものではない。色んなことをやっているうちに、いつの間にかたどり着けたのかもしれない。


***


南蛮茶屋に行って、本当に良かった。
これもひとつの出会いで、縁で、きっかけだった。

わたしに色んなことを教えてくれた
マスターの中村さん。 元気にされているだろうか。

13年ほどが経った今、

やっと本当の意味で、中村さんの言葉を理解できたように思う。


episode.25 おわり


(おまけ)

長崎市内から少し足を伸ばして、約1時間半で佐世保にも行ける。

画像18
画像19

佐世保バーガー美味しかったなあ。

画像24


▼これまでの旅noteはこちらから

日本の47都道府県のうち、これまでに44個の場所へ行ったことのあるわたしの旅を、少しずつ連載として書いていきます。

これまでに、北海道や東北・東京の旅を綴っています。




noteでいただいたサポートは、10周年記念イベントの開催費として使わせていただきます!!ぜひサポートいただければ嬉しいです!応援よろしくお願いいたします。