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7月3日、ジョージ・アンタイルに語らせた世界... アメリカン・モダニズムとベートーヴェンについて...

異才、ヴァイオリニスト、パトリシア・コパチンスカヤが、"狂騒の時代"、パリを震撼させたアンファン・テリヴル、アンタイルをフィーチャー、"LE MONDE SELON GEORGE ANTHEIL"。
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アンタイルがリスペクトしていたベートーヴェン... そのヴァイオリン・ソナタ、7番(1802)と、アンタイル(1900-59)のヴァイオリン・ソナタ、1番(1947)を軸に、アメリカ帰国後のアンタイルが親交を持ったケージ(1912-92)の夜想曲(1947)、フェルドマン(1926-87)のヴァイオリンとピアノのための小品(1950)とエクステンション 1(1951)が取り上げられる、"LE MONDE SELON GEORGE ANTHEIL"、ジョージ・アンタイルが語る世界。

何だか凄い組み合わせだな... が、第一印象。ベートーヴェンからケージまで、幅、あり過ぎ... てか、それぞれの音楽性がワチャワチャし過ぎ!いや、このワチャワチャこそが、アンファン・テリヴル、アンタイルらしさでもあるか... いや、アンタイル視線で、ワチャワチャ語らせて、ひとつの世界を見せてしまうコパチンスカヤが凄い!納得の構成に脱帽...

で、アメリカのアンファン・テリヴル、鬼才、異才たちに挟まれて奏でられるベートーヴェンの、飄々とした表情に、ちょっと、びっくり。いや、楽聖も、かつてはアンファン・テリヴルだったか... 19世紀初頭、過渡期の危うさのようなものを強調してくるコパチンスカヤのヴァイオリンも相俟って、いつもと一味違う!そのケミストリーに唸ってしまう。

というベートーヴェンとともに聴く、アンタイルの悪童っぷり... "狂騒の時代"をそのまま音にするようなワチャワチャしたモダニズムのヘンテコ感。絶妙に楽聖の音楽と共鳴するようなところもあって、おもしろい!一方で、思いの外、詩情に包まれるケージの夜想曲に惹き込まれ... 研ぎ澄まされた抽象を響かせるフェルドマンがまた違った詩情を見せる! 

そんな、"LE MONDE SELON GEORGE ANTHEIL"!コパチンスカヤならではの冴えとキレ!クリアなアホネンのピアノ!からの飄々とした佇まいが、魔法のように全てを引き立てる!それでいて、全てをドンピシャではめる!そうして浮かび上がる、アメリカン・モダニズムのスナップ... ベートーヴェン含め、魅了されます。

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