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8月22日、シューベルトのピュアに癒される...

ピリオドもモダンも自在に弾きこなす、フランスのヴァイオリニスト、ナーマン・スルシンと、ピリオドの名門、クイケン家のピアニスト、ピートによる、シューベルトのヴァイオリン・ソナタ全集。

規模が小さかったため"ソナチネ"として出版(3曲セットで... )されてしまった1番(1816)と3番(1816)のヴァイオリン・ソナタに、ヴァイオリンとピアノのための幻想曲(1827)を取り上げる1枚目... 華麗なるロンド(1826)で始まり、"二重奏曲"、"グラン・デュオ"とも呼ばれる4番(1817)に、"ソナチネ"からのもう1曲、2番(1816)を取り上げる2枚目... という構成。

まず、1番のシンプルで素直な音楽("ソナチネ"にされてしまったのもわかる... )に魅了された!ある意味、そのシンプルさ、率直さに、シューベルトの本質が見えた気がする。やっぱ、シューベルトは、ピュア!で、そんなピュアなあたりに、ウィーン古典派の大先生たちから受け継いだ端麗さも聴こえてきて、古き良き18世紀の記憶を留める1枚目...

対して、2枚目は、19世紀、ロマン主義!ドラマティックに始まる華麗なるロンド、まさに"グラン・デュオ"、ヴァイオリンとピアノが丁々発止で織り成す4番の聴き応え!そして、情感豊かな2番... シューベルトの19世紀の作曲家としてのスケール感、ロマン主義の夜明けとしての陰影の濃さ... 時代のうつろいの中を生きたシューベルトを実感。

という、シューベルトのヴァイオリンとピアノによる全作品を聴かせてくれたナーマン・スルシンとピート・クイケン。まず、スルシンのピリオド・アプローチによるヴァイオリンの真っ直ぐな音色にスーっと惹き込まれる!この癖の無さ、シューベルトのピュアを引き立てるなと... そして、ピートの弾く、1828年頃の製作、シャンツのピアノの、少し訥々とした表情!シューベルトのキャラそのものっぽい感じがして、何か愛おしい... また、ピートのタッチが、やさしい... そんなシューベルトに癒されてしまう。純粋が仇となる21世紀だけに...

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