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8月28日、ヴァイオリン/ヴィオラで辿る、ハンガリー近現代音楽の歩み... 揺さぶられます。

イスラエルのヴァイオリニスト、ヌリト・スタークが、時にヴィオラに持ち替えて、20世紀、ハンガリー音楽の歩みを辿る... バルトーク、リゲティ、ヴェレシュ、エトヴェシュの、無伴奏ヴァイオリン/ヴィオラ作品集。

近代ハンガリー音楽の礎、バルトーク(1881-1945)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(1944)に始まり、戦後「前衛」世代、リゲティ(1923-2006)の無伴奏"ヴィオラ"・ソナタ(1991-94)、近代と現代を結ぶ、ヴェレシュ(1907-92)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(1935)、そして、ハンガリー現代音楽界が世界に誇る鬼才、エトヴェシュ(b.1944)の無伴奏ヴァイオリンのための「属七の和音への冒険」(2019)という4曲。

バルトーク―ヴェレシュ―リゲティ―エトヴェシュ、脈々と受け継がれてきたハンガリーにおける近現代音楽の系譜を、ヴァイオリン/ヴィオラの独奏で辿るスターク。いや、独奏であっても、ただならぬスケールを感じさせるその演奏!また独奏だからこそ、ハンガリー音楽の本質が露わとなるようで、なかなか興味深いのです。

いや、近現代音楽であっても、土の臭いが立ち上ってくるような、独特な音楽性... 国民楽派2.0?お馴染みのハンガリー風では割り切れない、ハンガリー人のDNAに織り込まれた大地に根差した感覚(ユーラシアの遠い原野から疾駆して来た騎馬民族の記憶?)だろうか、西欧とも東欧とも違う抑制的な空気感、緊張感に揺さぶられる!

で、スタークの演奏!なかなかに渋い4曲ながら、見事に弾き切っていて... リゲティでは、さらりとヴィオラに持ち替えての、そのディープな音楽を滔々と繰り出す!もちろんヴァイオリンでも鮮やかにして懐の深い音色を響かせ、底流するハンガリーの音楽性とともに、それぞれの個性も自在に引き出し、圧倒される。

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