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11月23日、16世紀、大きく揺れたイギリスの、ルネサンス・ポリフォニーにおけるブレないイギリス流の魅力...
トビー・ウォード率いる、イギリスの古楽ヴォーカル・アンサンブル、アンサンブル・プロ・ビクトリアが歌う、イギリス、テューダー朝を彩った音楽の数々... "Tudor Music Afterlives"。
宗教改革(1517)により大きく揺れた、16世紀、ヨーロッパ... イギリスもまたそうで、1534年、ローマ教会から離脱し国教会が成立する。が、カトリックからプロテスタントへ、単に切り替わったというわけではない一筋縄には行かないイギリスの状況があって... メアリー1世(在位 : 1553-58)によるカトリックへの復帰もあったりで、その不安定さは、作曲家たちの活動にも影響を与えることになった。という、テューダー朝(1485-1603)の揺れた時期の音楽を俯瞰する、"Tudor Music Afterlives"。
国教会以前の教会音楽で活躍したタヴァナー(c.1490-1545)に、プロテスタントの波が押し寄せるエドワード6世(在位 : 1547-53)の時代、カトリックに留まったラドフォード(c.1485-c.1557)、カトリックの女王、メアリー1世の時代、王室チャペルを担ったタリス(c.1505-1585)、シェパード(c.1515-1558)、そして、エリザベス1世(在位 : 1558-1603)の時代まで活躍したパーソンズ(c.1535-1572)の作品が取り上げられる。
まず、印象に残るのは、社会的に大きく揺さぶられても、音楽におけるイギリス流はブレていないこと... 大陸とはひと味異なるシンプルなポリフォニーが編まれ、シンプルだからこそメロディーは引き立ち、そこに大陸にはない甘やかさが漂い出す... いや、揺さぶられたからこそのシンプルさだろうか?時に達観すら感じられるようで、音楽に対する真摯さを見出せるようにも思う。そんなイギリス流に魅了される。
という"Tudor Music Afterlives"を聴かせてくれた、ウォード+アンサンブル・プロ・ビクトリア!澄んだハーモニーを織り成しながら、ひとりひとりがよりしっとりと歌い、そこから溢れ出す情感に惹き込まれる!いや、彼らが生み出すメローさには、古楽の枠からはみ出しそうな感覚すらあって... イギリスのルネサンス、より大きなスタンスで、イギリスの音楽のおもしろさ、絶妙に響かせます!
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