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バラードA|07. うわっ最悪

飼い主をじっと見上げながら
子犬がそっと道端に糞をする

なぜ こうも愛おしいの
ぼくはきみに問いかける

自分よりずっと小さな存在が
自分を必死に求めているから

なら おかしいじゃない
ぼくはきみに問いかける

きみよりずっと小さなぼくが
きみを必死で求めているのに

きみは気づかない なにも
きみは気づかない なにも

道端に置いてけぼりのぼくを
みんな避けて通りすぎていく

きみは気づかない なにも
きみは気づかない なにも

スマホを見ながらやってきて
夏服のスカートひらめかせて

きみは気づかない なにも
きみは気づかない なにも

思ったよりも焼けた太ももと
派手な下着をのぞかせるだけ

きみは気づかない なにも
きみは気づかない なにも

きみをじっと見上げるぼくの
視線をそっとさえぎるように

きみは気づかない なにも
きみは気づかない なにも

素足のまま履いた巨大な革靴
空からぼくに振りおろすだけ

グシャリ うわっ最悪
グシャリ うわっ最悪

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