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音のないバンド「・・・」です。だれも知らない街で暮らしています。

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  • バラードA

    2nd Album(順次リリース中)

  • 断片集

    歌のカケラたち

  • 中年

    1st Album(全11曲)

最近の記事

バラードA|09. どこにもいかない夜行バス

たぶん チラシにあふれたポストを あけて しまったせいかもしれない ららら どこか遠くへ  ひとり 行きたいんだ でもね 明日は燃やせるゴミの日で チラシ 捨てに帰ってこなきゃだな ららら どこか遠くへ ひとり 行きたいのに 深夜0時 新宿発 新宿行 どこにもいかない夜行バス だれ宛てでもないチラシに そんなフレーズ見つけたよ 深夜0時 新宿発 新宿行 どこにもいかない夜行バス 新宿の街をぐるぐると走り 翌朝にはまた新宿へと戻る 深夜0時 新宿発 新宿行 どこ

    • バラードA|08. 肩レンタル

      夕暮れ 駅のベンチで 人生 つぶしていると スーツ の知らない男 突然 声をかけてくる すみません 恐縮です 肩借りてもいいですか 肩レンタルのサイトで あなたを見つけまして そんなものに登録した 覚えなんてないけれど どうぞ 肩をさしだす 男は 頭のせたりせず ベンチ のうしろから 突然 両肩に飛びのる すみません そのまま 立っていただけますか じつは一身上の都合で 会社をやめてきまして しかたなく立ちあがる 興味なんてないけれど こうして駅のホームで ぼくは

      • 断片集003

        • バラードA|07. うわっ最悪

          飼い主をじっと見上げながら 子犬がそっと道端に糞をする なぜ こうも愛おしいの ぼくはきみに問いかける 自分よりずっと小さな存在が 自分を必死に求めているから なら おかしいじゃない ぼくはきみに問いかける きみよりずっと小さなぼくが きみを必死で求めているのに きみは気づかない なにも きみは気づかない なにも 道端に置いてけぼりのぼくを みんな避けて通りすぎていく きみは気づかない なにも きみは気づかない なにも スマホを見ながらやってきて 夏服のスカー

        バラードA|09. どこにもいかない夜行バス

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          断片集002

          断片集002

          バラードA|06. きみと巨大な読点で

          街なかで、みんな、倒れていた、 こんもり、とした、黒いものに、 寄りかか、ったり、 寝ころが、ったり、 巨大な、ナスみたい、 なんなんだ、これは、 さきっぽに、またがる、きみが、 恍惚と、答える、「読点です」、 語りあっ、たり、 抱きあっ、たり、 ひといき、つくのに、 最高なんだ、これは、 読点の、イスに、 まくらに、クッション、 どん、どん、世界、に、 読点、が、あ、ふ、れ、た、 読点の、ベッドで、 ふたり、クラクション、 どん、どん、世界、に、 きみ、が

          バラードA|06. きみと巨大な読点で

          断片集001

          断片集001

          バラードA|05. でもそこにはおばあさん

          夜更けにチャイムが鳴る きみが戻ってきたのかと いそいでドアをあけるよ でもそこにはおばあさん 廊下を逃げるおばあさん もしやピンポンダッシュ おひさしぶりスリリング どうか逃げきってほしい この世にラストスパート 夜明けにチャイムが鳴る きみは戻ってきやしない ゆっくりドアをあけるよ でもそこにはおばあさん 廊下を逃げるおばあさん もはやピンポンヨボヨボ おさまらないハートビート どうか突っ走ってほしい あの世へスタートダッシュ

          バラードA|05. でもそこにはおばあさん

          バラードA|04. きみに憂鬱を揚げる

          ねえ きみに 憂鬱を揚げる ほら ※のあたりが カリカリたまらない ほら 彡のあたりも ビールによくあうよ ありがとう ダーリン 蕭寥も追加でおねがい ああ カラッと晴れた ああ カラッと晴れた ねえ きみに 朦朧も揚げる ほら 月がたくさん サクサクたまらない ほら 豚と龍も踊る ぼくらといっしょに ありがとう ダーリン 脳髄も追加でおねがい ああ カラッと消えた ああ カラッと消えた

          バラードA|04. きみに憂鬱を揚げる

          バラードA|03. 真夏の公園で汗だくのおじいさんが

          真夏の公園で 汗だくのおじいさんが 見たことない ステップを踏んでいる スマーイル&ジャーンプ とパワフルな声をあげて きっと ワールドカップに向けた練習 たぶん 競技名はまだ決まっていない だって 世界で選手はたった一人だけ だから 金メダルは絶対に確実なのさ すみません サインください サインください おじいさん 真夏の公園で 汗だくのおじいさんが 見たことない 速さでペンを走らせる ロナールド・ガルーシア とワイルドなカタカナで きっと ロナールド

          バラードA|03. 真夏の公園で汗だくのおじいさんが

          バラードA|02. 死にたいマン

          死にたい 死にたい そうつぶやくきみに どこから ともなく あいつはやってくる いい年してヒーローなんて 将来が不安すぎて死にたい たるんだカラダを震わせて よわよわしく泣きくずれる 死にたいマン 参上 死にたいマン 参上 死にたい 死にたい そうつぶやくきみは ヒーロー のくせに 死にたがる彼の姿に なんだかもうちょっとだけ 生きていけそうな気がする 死にたい人に勇気と希望を 与えつづける正義の味方だ 死にたいマン 参上 死にたいマン 参上 生きよう 生

          バラードA|02. 死にたいマン

          バラードA|01. それは明太子

          たらこ吸ってもいいですか となりの席の男に聞かれる え たらこですか 思わず聞きかえす 男はなにやら赤いものを ポケットから取りだして そう たらこです うまそうに咥える 明太子だった 明太子だった 明太子だった

          バラードA|01. それは明太子

          中年|11. 十一日目

          なんだか彼は眠れない 窓のすきまから夜を眺める 向かいの部屋のベランダに いつかの中年の男がひとり なんだか男も眠れない タバコにそっと火をつける このまま 一言も交わさず死ぬ仲なのに なんだか 友だちになれそうな気がする こんな歳にもなって なにが友だちだ あ こんばんは あ こんばんは もう 朝ですね もう 朝ですね おやすみなさい おやすみなさい おやすみなさい おやすみなさい

          中年|11. 十一日目

          中年|10. 十日目

          なんだ夢かと 彼はつぶやく べつに寝てたわけ じゃないんだけど これまでのすべて 夢になってくれる ああ よかったな ああ よかったな 生まれて死ぬまで 跡形もなく消えて 僕なんて いない 僕なんて いない なんだ夢かと 君もつぶやく あたらしい人生が 二人を待っている これまでのすべて 夢になってくれた ああ よかったね ああ よかったね となりで笑う君と また眠りについて 君なんて いない 君なんて いない なんだ夢かと 彼はつぶやく

          中年|10. 十日目

          中年|09. 九日目

          彼は毎日8時間眠る 90年も生きたって 30年は布団のなか 90年も生きたって 30年はゆめのなか ああ 生きるのって 死ぬほどきもちいい 彼の一日また暮れる なにもしなくたって 人生は勝手に終わる なにかしたくたって 人生は不意に終わる ああ 生きるのって 死ぬほどきもちいい

          中年|09. 九日目

          中年|08. 八日目

          ブーン ブーン コバエが部屋を飛ぶ 彼はなんどもなんども コバエ取りを見にいく でもコバエは一匹もかからない 自分ばかり引きよせられるだけ ブーン ブーン ジブンが一匹 ブーン ブーン ジブンが一匹 ブーン ブーン コバエが部屋を飛ぶ 彼はなんどもなんども コバエを叩こうとする でもコバエを一匹もつぶせない 自分までつぶれてしまいそうで ブーン ブーン ジブンが一匹 ブーン ブーン ジブンが一匹

          中年|08. 八日目