見出し画像

余白に気付き、選択肢Bを知った#1

都会といわれる場所で暮らしてきたけれど、”地方”や”地域”、”まちづくり”に関心を寄せていたという小田嶋さんと米澤さん。

島では役場の交流促進課に所属しながら、現場をみるという観点から海士町観光協会で働いていました。

来島前に感じていた自分の中の矛盾をきっかけに、地方や島でのリアルな暮らしを経て2人が感じたものをお届けします。


小田嶋澄さん(東京都出身)
取材当時21歳


米澤爽さん(神奈川県出身)
取材当時22歳


地元っていう言葉がしっくりこなくて

小田嶋
出身は東京、学校は神奈川だったので1回は地方での暮らしを経験をしてみたかったんです。ずっと住んでいる場所はあるんですけど、家はご飯を食べる場所・寝る場所みたいな感じだったので。

自分が住んでいる場所に全然興味が持てないし、地域愛というものがなくて。住んでいた時から地元という言葉がしっくりこなくて、ただ住んでいるところという感覚でした。

知夫里島にいる島留学生を訪ねた時
今年初めて海に入りました

小田嶋
そういう中で自分が”地域”に興味をもっているのに、”地域”がどういうものなのかを知らない状態に矛盾を感じていて、ずっと心の中で引っかかっていました。

大学4年生になって卒業単位も取り終えて、色んなまちづくりの事例を調べていたら海士を知って、島体験を見つけました。期間的に3か月が自分にはちょうど良く感じて、行ってみようと思い来島を決意しました。

もともと色々な場所に行くのが好きなので来島に当たっての不安はなく、むしろ新しい場所で3か月過ごせるのが楽しみでした。


残った時間をありったけ使って

小田嶋
いろんな人と交流することと、自分の時間をのんびり持つこと。対極のことだけどそういう時間と経験が欲しかった…。

私は、 ”あの人に会いたいからあの場所行こう“ って思える場所を持ちたいって思っていました。理論的な話になりますが、地域愛着形成の要因の一つにはどれだけその場所の人との交流があるかというのがあるんです。
だから、島体験生・島留学生同士というよりかは地域の人と交流を持ちたいなと思っていました。

お気に入りの通勤路
晴れた日には海の青さと山の緑、
街並みのコントラストが美しく、見飽きない景色

小田嶋
一人の時間を持ちたかったというのは、大学生生活の中でいつも誰かと常に一緒にいたので、全く知らない場所で、自分がどこの大学の人か知らない人たちの中で、ゆっくりしたかったからです。

あと、来年の4月から社会人になるので、残った時間をありったけ使って自分を見つめなおす、自分に矢印を向ける時間を作りたかったのも理由の1つです。

観光の現場を実際に経験したい

米澤 
大学4年になり単位も取り終えて、就職先も早めに決まったので残り1年何しようかなって考えていました。

就職先の会社が全国のいろんな地域をフィールドにした会社なのですが、教育系と事業系(観光など)の2つのサイドがあって。
配属先について人事の方からどちらがいいか尋ねられたときに、教育についてはこれまでのアルバイト経験等を通じて課題観も見えていたのですが、観光については全く知らなかったからどっちにするか選べなくて…。

観光協会の傘が完成しました☂

米澤
観光に興味を持ったというよりは、就職先に観光事業があるけど、観光っていうものを全く知らないから現場を経験しに来たっていう感覚です。

もともと中3の時に島前高校に行きたかったので、海士の存在は知っていました。ただ、大人の島留学・島体験っていう制度は知らなくって。
知人と昨年12月に会ったとき、来年からどうしようって相談したときに大人の島留学・島体験っていう制度があるよって教えてもらいました。

面白そうだなって思ったし、島前高校に行けなかったっていうリベンジ的な思いもあって、「もしかしたら今なんじゃない?」って思って参画を決めました。


よりリアルな環境で

米澤
まちづくりとかに関わりたいって言っている反面、地方に滞在したことがあるのが最長2週間くらい。地域に関わりたいって言っている反面、自分が住んでいる場所は都会。っていう現状や環境に矛盾を感じてて。

観光を知りたいという想いもあったけれど、地域の良いところも悪いところも含めたリアルを知りたいっていう思いはありました。
その他暮らしの面で、釣りをしたり、海に飛び込んだり、島ならではのことはしたいなと思って来島しました。

どこでも寝れる、、島の魅力①

米澤
実際に暮らしてみてると地域の良いも悪いも知れました。これが地域なんだなっていうのは一部分ではあるけれど知れた気がします。

実際、自分は来年から地方で働く予定だけど、慣れない環境かつ地方初めて、っていうのは不安でした。だから、その前に地方を一部分でも知れたっていうのはいい経験になったと思います。

知らない世界を、見たい・聞きたい・経験したい

小田嶋
都会にはなくて地方にはあるものがあるんじゃないか
東京にはないキラキラがあるんじゃないか

というよりは、純粋に知りたい!という感覚。
全然違う文化や方言、風景をただただ知りたいなって。

だから、都会と地方の二つの軸で常に見ているというよりかは、
日本という一つのフィールドの中で”東京”や”島根”を見ている感覚です。

はじめての休日に観光も兼ねて明屋海岸までサイクリング

小田嶋
都会以外に行くことが私にとって別世界に行くことのような気がしていました。知らない別の世界をただ、見たい・聞きたい・知りたい。
これが都会にいる人のエゴだって思われることもあるかもしれない。

地方には都会にはないものがあるだろうみたいな目線で来ているんじゃないかと思われてしまうのではないかと思うときもあります。

知りたいという気持ちは傲慢なんじゃないかって、、

だから、東京出身・神奈川出身と伝えるのが少し怖いときがあります。自分はそういった目線ではないと感じている一方で、もしかしたら、無意識の根底にそういう意識があるのかもしれない。だけど、ただ違う世界を知りたい気持ちが大きいです。

手に取るように分かった、大切なもの

米澤
自分が住んでいたところは、徒歩1分のところにコンビニがあって、おしゃれな服屋さんがあって、ごはんやさんもあって、モノにあふれていました。

地方は必要最低限のものしかないからシンプルで、大切なものが見えやすい。そこに自分が地方に惹かれる理由があるのかなと思います。

隔離期間におにぎりお姉様方からのお手紙

米澤
ここに来てから大切なものが見えやすいなっというのは実感していて。もともと地元にいた頃は予定パンパンの人間だったので、自分について考える時間はなく。。

でも、ここに来て圧倒的に自分の時間が増えました。
その時間の中で、地元について考える機会が増えて、家族について考える時間も増えて…。物の豊かさだけがすべてではないなってこっちに来てから気づきました。

例えば、お隣の隠岐の島町に行ったとき。
大きいドラッグストアに行ったんですけど、買いたいと思って手に取るんですけど、やっぱりいらないなって。
3か月前の私だったら買っていただろうものも買わなくなっていました。

ないものはない。
あるものをどうするか、あるものでなにかできないかって考えることの方が豊かなんだなっていう感覚。気がついた時には、その考え方が身についていました。

どこで寝れる、、、島の魅力②

米澤
ビルだらけの場所で育ったけど、海士町でぱっと顔をあげたときに広がる景色や、朝窓を開けて眺める景色、役場行くまでの風景とかに心穏やかになる部分があって。

地元にいるときも家族は大事だと思っていたし、自分の時間も大事だって思っていたけれど、他にやることとか他にあるものとかがあって埋もれてて、海士に来てそれがぱって浮き彫りになったイメージです。


次回予告


自分にとって気になる世界だけど、実はそのリアルに触れたことはない。
だから、実際にそこにある世界を見て、聞いて、経験したい。

そういった想いをもって来島し、暮らす中で見えてきたものがそれぞれにあったようです。


さて、

そんな2人は、島でいったい何をしていたの?

観光に関わりたいって言ってたけど実際どんな仕事をしたの?

大きなしゃもじを持っていますね!


2人が島で働いたり、暮らす中で感じたこと・考えたこと・気がついたこともあったようです。

タイトル「余白に気付き、選択肢Bを知った」へも迫っていきますので、ぜひ次回もお楽しみに、、、


それではまたお会いしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!


          (執筆・インタビュー / 大人の島留学生 田中沙采)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?