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システムのテストをしながら、人と人との繋がりを一層意識した日。

研修で作ったシステムのテストをしながら私はセルフ市中引き回しの刑を実行していた。
もちろん、ガチの市中引き回しではない。頭の中で引き回しだ。
首から提げた札にはこう書かれている。
『私は設計にない仕様を追加しました』

システムの設計をする際、まず仕様が配られ、それに基づいて設計書を作る。
外部設計で画面インターフェースを作って、内部設計でデータの流れや変化、各要素の機能を細分化して書き込んでいく。かくして設計書ができ、実際に開発をしてみると、設計書にない、けれど、組み込んだらより良くなるであろう機能(エラーが少なくなったり、ユーザが分かりやすく利用できたり…)がポンポン出てくる。私はそういう脇道から発生したものをついつい取り込んでしまう癖がある。
しかし、システムは会社で作っているものだ。設計とテストの間に新たに機能を付け加えたら、それは仕様にない設計となる。それらの存在を認識しているのは作った本人のみで、閉じられた情報を作ってしまうことになる。これはマズイな、と単体テストをしながら内省した。ウォーターフォール式の開発だと特に、各段階を完璧にしないと先に進めない。自分しか知らない仕様を組み込んだとしたら、その説明のために更に時間を費やすことになる。これでは作業効率が上がらない。また、テストをチェックしてもらうとして、チェックする側の負担にもなってしまう。個人プレーになってしまった。報告と連絡と相談はまさしくこのような場面で必要なんだな、と強く認識した1日だった。
まず、仕様を満たして、その後のテスト段階で、不具合が生じた場合、機能を追加すればいい。まず、改善したほうがいいところを、情報として残し、周知させる必要がある。こういう基本的な情報のやり取りをする能力をコミュニケーション能力っていうのだろう。だとしたら、私はまだまだその能力が低い。
 自分だけが知っている情報を少なくしていき、周りが知っている情報を増やすように仕組んでいきたい。会社という大きな社会と関わるうちに少しずつ、反省と向き合う時間が増えた。一時期の落ち込みよりも改善のために思考し、思考を言語化して、実践すること。その繰り返しだ。
 叱るのだって疲れるのだ。だったら、叱られるようなことを未然に防いだほうが幸せだ。小さな気づきが大きな失敗から自分を遠ざけてくれるのだとしたら、注意深く内省を繰り返して、こうして日記に残していきたい。

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 今日もまた小説の進捗を生んだ。小説を書くとき、一番悩むのは起承転結の『承』だ。イベントの引き出しが少ないのが原因だろう。例えば、主人公とヒロインがいて、その2人に何をさせたいか、どうイチャイチャさせたいのか、がフワフワしている。ストックを繰り返すしかない。デートの前にはその前触れがほしく。いきなりデートに繋がるようなことは少なく、必ず何かしらのきっかけがあるはずだ。だって、見ず知らずの少年Aが貴方をいきなりデートに誘ってきたら? 困惑どころか防犯ブザーが鳴り止まないだろう。そういうことだ。人と人とが仲良くなるには相応のプロセスがある。まず仲良くなるには出会いが必要だ。順次と分岐のロジックで、人間と人間の関係が生まれる。こういうところはプログラムと少し似ていて面白い。恋愛だったら、出会いから、デート、そして仲が深まるまで……いくつのイベントがあるだろう。イベントの数だけでない。そのイベントには何の意図があったんだろう。何気ない日常に散らばった糸口を作者は1つ1つ、構成を整えて、道筋にしていく。人と人とが仲良くなるにはどうしたらいいのか? 

そんな単純かつ奥深い人間生活の永遠の主題について考えながら、更けていく夜を過ごす。


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