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原稿に詰まった。文章の書き方を振り返った。

書いている原稿が詰まって丸一日悶々としていた。
原稿自体は3000字ほど進んだが、いかんせん小説じゃないので進捗がすこぶる悪い。
あと1日か2日で書き上げたら、小説に取り掛かりたい。

小説と小説じゃない文章の書き方は違う。根本的な文章作法は同じだが、構成の練り方が違う。
私は基本、理解しやすい文章を作るようにしている。巧みな比喩が使える自信はないので、気持ちいい感覚で使ってみた喩えを、読み返してみて全ボツすることもある。読みづらいと面白さがダイレクトで伝わりづらい。せっかく、取り扱っている内容・キャラクタ・関係性が美味しいのに調理がヘタで台無しにするのはもったいないはず。

とはいえ、私が書いているこの文章が、果たして読みやすいのか。
もっと行間を入れたほうがいいのは確かだった。語順がすっきりしているとなおよし。
リズミカルな文章って、文章を読むのが苦手な人でもすらすらと読めるから不思議だ。太宰治の『斜陽』、『グッド・バイ』は特に読みやすかった。太宰は読点の魔術師だ。一文はひたすらに長いのに、読点の撃ち方が妙技なので、呼吸をするように読める。生半可な真似をしようとすると、スパゲティコードのような文章が生成されてしまうので迂闊には手を出せない手法である。研究が必要だ。

私は文章初心者で、日本語文法にも精通していない。むしろ、英語の文法の考え方を採用している。それは考え方が分かりやすいからだ。つまり、S、V、O、C、そして修飾語だ。五文型の一文にM=修飾語による情報を詰めすぎない、これだけ。簡潔なものを心がけている。日本語は英語に比べて、口語だけでなく、文語も語順に幅が利く。けれど、いくら自由度が高いからといって、どんな語順でも伝わりやすさが同じなわけがないと思っている。

私は家族と海に行きました。
私は海に行きました。家族と。
家族と海に行きました、私は。
家族と行きました、私は海に。
行きました。家族と私は海に。

(上記の例はあまりいい例ではないかも)
上の5つの文はどれも同じ意味は通ってしまう。
けれど、最初の文が一番ベーシックで分かりやすい。
主語と述語を簡潔な修飾語で囲んでいる。
語順を変えることで、強調する部分を変える倒置法があるが、多用してしまえばその意味は薄れる。
日本語には多彩な表現技法があるが、それらを有効活用するにはまず簡潔な文章を書けるようになるのが大事だ。SVOCで分かりやすい文章は作れる。あとは少々の修飾語。

文章を書くのは難しくない。小説を書くのもまだ難しくない。
でも、面白い文章を書くのは難しく、面白い小説を書くのはもっと難しい。
簡単な積み木遊びからはじめるしかないのは、文章に限定した話ではない。
めいっぱい遊び場を楽しもう。遊びを簡単に消費しないことが肝要。
考える。
どうすれば、面白いか、リズミカルか、読みやすいか、分かりやすいか、ハートを撃ち抜けるか。
なんでもいい。ヒントはあたり一面に転がっている。文章が書けなくてつまったら、人の通りが少ない路地を散歩してみるといい。静かな場所で、論理の積み木を1つずつ積み上げていくのだ。そうしたら、蝶のようなアイデアが私たちの視界を左から右へ飛んでいく。あとは原稿を書いてみるだけ。恥ずかしいことなんてない。最初は誰だってヒヨコだ。未だにヒヨコな私が胸を張っている。
卵を蹴破ってきた面白い文章を、私はいつだって待望している。
誰か書いてくれないか。私も書くので。


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