あの日と同じ朝、あの日とは違う夜

梅雨明け前の、肌寒い朝。
1年前の今日と同じように、今朝は雲が厚く、この調子では明日の天の川は見えないだろうと思う。
なぜか七夕は天候に恵まれず、織姫と彦星の物語は潤んだ窓の向こうの出来事。短冊に書く、私の願いは叶った覚えもない。

そこに行けば会えた人がいなくなり、1年たって、変わったことと変わらないこと。つつがなく過ごしてきたようでも、一番変わったのは私の心かも知れない。
1年前に泣いていた時間に、今年はドラッグストアで買い物をしていた。
時計を見つめて、「あの日のあの瞬間」をじっと待つよりはいいでしょ。

朝のうち、雲の垂れ込めていた空が今は光に満ちて、哀しみの欠片をぼんやりと隠す。けれど、1年が過ぎた今日から切り替えられるほど、小さな出来事ではなく、私は強く大きな心も持ってない。時間はまだ心を解放してはくれない。

去年は小雨で見えなかった夕日が今、正面に大きく構えている。

あの日とは違う夜が、もうすぐ来る。

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