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宇宙色の猫 ひとつ目

気温24度 風も無い 

僕は公園の 緑の上を 泳ぎながら
 
春を呼び込む

ゆっくり だらだらと 時間は通り過ぎていく

気をゆるめ 手を広げたその時 

触れたことのない感覚が 指先に現れた


視線の先には 宇宙(そら)

いや… 宇宙色の猫がいる


宇宙色の猫は 口をモゾモゾさせながら
慣れない様子で 勝手に喋り始めた

『ぼくは 初めから 
 この色で 生まれたわけではないんです』

『あの日 いつものように
 散歩をしていたのです
 目の前で 大きな音が鳴り響き
 天と地が 入れ替わり
 ぼくは そのまま 真っ逆様に 
 宇宙まで 落っこちてしまったのです…』

『唯一覚えているのは 身体中に走る痛みと  
 優しく何かに包まれていく それだけです…』

『目を覚ました時には もう この色に…』

宇宙色の猫は どこか寂しげでもあり 
どこか自慢げでもあるように そう言うと

星のように光る口髭を ピンっと弾いた

弾かれた髭からは 

光の粒が 流星のように こぼれていた


#こころのなか #こころのこえ #詩 #自由詩 #宇宙 #猫 #春  

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