クチナシ

指先でなぞる飛行機雲 
風に吹かれ 青に染まる
ふと あなたを思い出し
そっと 空を見上げる

夕焼けのかげぼうし
あの日みたいに追いかけた
赤と黒に染まる頃には
もう 戻れなくて

平気なふりをしては 傷口は広がり
思い出すのが怖くても ずっと繰り返していく

忘れないでよ 私を
いつもみたいに呼んでよ
クチナシの花に例えるように
わたしを幸せだと言わせて

忘れたくないのに失くしてしまうもの
ねえ 思い出したの
また逢えると約束したよね

もう 届かない
クチナシの花と

忘れないでよ 私を
いつもみたいに笑ってよ
クチナシの花に例えるように
わたしを幸せだと言わせて 

わたしは幸せだったと言わせて


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