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肩凝りこんちくしょう。

 織物を編むように凝りが重なってしまったものだから、ほぐすのに至難の極み、おいそれと退散してはくれぬ、で、肩叩き。あっちを叩いて、こっちを揉んで、洗濯物をひとつひとつ仕舞う順番考えてたたんでいくみたいにして、筋道立てて、肩叩き。
 ひとつほぐれたら、ほぐれたそばから奥に潜んでいた新たな凝りが現れるだなんて、若いころにはちっとも考えられんかった。
 筋肉痛とは本気度が違うよ、加齢老化の正真正銘、本格派の肩凝りに日夜悩まされるものだから、風呂上がりに今日も一発! マッサージ。

 こちらを揉んで、あちらを叩いて。毎日ほぐしてるはずなのに、永遠のモグラ叩きみたいに終わりの見えない肩叩き。
 
 腰痛の何割かの原因は肩の凝りにありと整体の先生に教えてもらったから、腰痛の予兆にも肩叩き。
 
 会社で叩かれる肩はたったの一発で安定生活を解消されるのに、マッサージ機で叩く肩は頑固で執拗で居座ったまま去ってくれる気配さえ見せない。
 
 変化に欠けた人生はつまらないとは常々思っていることだけど、求める変化の中に肩凝りは入っちゃいない。
 人生は思いどおりにいかないものだとわかっちゃいるけど、邪魔するものに肩凝りは入れてあげたくもない。

 乗り越えるべき障壁だったらやる気に火をつけ果敢に挑もうという気になるけど、肩凝りは足を引っ張られているようなもん。マイナスからの出発じゃ、火がつく前にマッチの棒もぐにゃりと曲がって気は萎える。
 気持ちはぐにゃりでふにゃふにゃなのに、肩凝りったら、自慢げにその硬さを今日も誇示し続けている。
「えへん」となんだか自慢されているみたいで憎らしい。

 こんちくしょうめ。


 
 

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