なにに見える?
「飛んできたボールを打った三日月」に見えるあなたの心理状態は……。
ロールシャッハ・テストで導かれる心理状態は興味深いが、忘れたころネットに彗星の如く戻ってくるエンタメ系「○○テスト」「○○占い」の類には好奇が騒ぐ。さて、出題者の苦心はどこにある? 出題自体はさらっと流し、知恵をしぼった性格診断の数々、読むのが楽し。
ふむ。出口から辿って最短距離を導く迷路解決手法で紐解くと、出題者の意図が透けてきたりして面白い。
「適当だなあ」と笑い来たるものあれば、轍を踏んだ「慎重派」もあったりして。
占い師は、さもお見通しのようにこんなふうに客を導いていく。
「あなたには不幸の影が見えます。庭に柿の木はありませんか?」
手相と心理を握られた客が首を横に振ると「よかったですねえ、不幸があなたのところでとどまることはなさそうです」と言う。首を縦に振ると「よかったですねえ、不幸があなたのところでとどまることはなさそうです」と言う。どっちに転んでも、返ってくる言葉は同じ。こだまでしょうかと尋ねたら「佐藤です」なんて答えられたりするかもしれないな。
もっともらしく虚を信じ込ませようとする努力はお見事だけど、昨今は種明かしが進んだせいか、溺れる者の藁になるより、驕れる者の笑いを取るのに躍起になってる節がある。
花瓶を見て、猫に見えた。この心理状態ってどんななの? 愉しませる占い師ならなんと診断してくれるだろう。
パレイドリア現象を起こすと、つい猫じゃらしに飛びつく猫になってしまうもので。猫と違うのは、猫は爪を出すが、こちらは筆を出す。で、描く。猫は、引っ掻く。
猫は猫じゃらしが現れなければ猫をかぶっている。こちとら占い師と診断が現れなければ猫をかぶっている。刺激を与えられなければ大人しい点で共通している。
猫と人、似ているのか、いないのか。
どちらでしょうか。
絵は猫が花器に尋ねている。「どちらさまでしょうか」
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