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 京浜東北線王子駅からほど近いご近所の名所。

 王子稲荷神社

 ここは歌川広重『王子装束ゑの木大晦日の狐火』ゆかりの舞台。広重は、大晦日の夜に王子稲荷神社に参詣するために榎(の木)の巨木のもとに集まった狐が身なりを整えているシーンを切り取りました。

王子装束ゑの木大晦日の狐火

 狐が詣で始めると、人にはそれが狐火と目に映ります。


 狐火は昔の人にとって貴重な情報源でした。炎の量で、新年の豊凶を占ったとのこと。

 現代の王子には豊凶を占うのどかさは残されていませんが、狐は今でも健在です。仮装し参詣の行列をつくるようになりました。毎年大晦日の夜、化粧で狐顔を作る人、狐の被り物をする人、狐のモニュメントをもち歩く人などであふれかえる--行事「王子狐の行列」となって。


 残念ながら2020年はアノコトで行事は中止に。かつての狐火を行列に重ねるわけにはいかなくなりました。でもこういう時だからこそよけいに翌年の経済が「豊かか、否か」を占ってほしいような気もします。

狐火2

 狐火よ、今年は行事がなくっても、灯れるものなら大きく灯れ!


 広重の描いた狐たちはみな古風な日本美人、日本美男子でしたが、そこは西洋化やマンガ文化の影響を受けている現代人。時代がよく見えますように、という願まで欲張って、瞳を大きく仕上げてみました。


【おまけ】
王子稲荷神社の境内にある「狐の穴跡」は、落語「王子の狐」の舞台です。
境内、本殿の右手を過ぎて奥の奥まで入ったところに狐の穴跡があります。
お出かけの際はお見逃しなく。

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