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運命の地、高知で作る人と土地にやさしい”高知スタイル”ビール

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8年間の空白を経てお酒天国に誕生した”人と土地にやさしいブルワリー”

可杯(べくはい:穴の開いたおちょこ)や空吸(そらきゅう:底が尖っていて机に置くと倒れるおちょこ)など独自の酒文化が生まれたお酒天国の高知。お酒との関わりが深い土地柄にも関わらず、2010年以降の8年間、クラフトビール醸造所が不在だったことはご存知ない方も多いのではないだろうか。

この状況に風穴を開けたのが合同会社高知カンパーニュブルワリーだ。カンパーニュの語源である「カンパニオ」には、「パンをわけあう人々」という意味がある。ビールを介して家族や仲間が一緒に過ごす時間をさらに幸せに満ちたりたモノにすることで、”食卓を豊かにしたい”。そして、”その豊かさを地域に還元したい”。そんなビジョンが社名に込められている。

「高知の素材」と「飲み易さ」を探究したビール=TOSACO

高知カンパーニュブルワリーが創業から製造販売しているビールブランドがTOSACO(トサコ)だ。TOSACO作りにはビジョンを実現するための3つのこだわりがある。

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3つのこだわりと同じくTOSACOで欠かせないのが、瀬戸口代表が突き詰めるビールの”味作り”だ。ビールが苦手な人でも笑顔で飲めるビールを作ること。それが瀬戸口代表の味作りの真髄だ。味作りのアイデアはビールが苦手な奥様の香帆さんとのビアパブ巡りでヒントを得ているそうだ。現在までにリリースされたTOSACOは7種類。どれも高知の魅力と瀬戸口代表のクラフトマンシップが詰まったビールばかりだ。

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瀬戸口代表はプライベートで、ゆずペールエールを豚バラ肉のアスパラ巻きに合わせて飲んでいるそうだ。ワサビ醤油で食べるのがおススメとのこと。一度ブルワー推奨のペアリングを試してみてはいかがだろうか。

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また、新商品やイベント情報は公式SNSで発信されている。ご興味のある方はぜひチェックして頂きたい。
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”大好きなビールを自分で作りたい”サラリーマン時代に知った本当の自分

「自分の本当にやりたい事ってなんですか?」
直ぐに答えられる人はそう多くない。そもそもそんなことを深く考えたことがなかったかも…そんな方も居るだろう。

高知カンパーニュブルーイングで代表兼ブルワーを務める瀬戸口 信弥(せとぐち しんや)さんも過去はそんな1人だった。瀬戸口さんは京都生まれの大阪育ち。学生時代は電気工学とバイオサイエンスを学んで、大阪の電機メーカーに就職した。配属されたのは新規事業の開発部。トラブル続きの業務に奔走する日々の中、組織の歯車となって働く自分に疑問を抱くようになった。 

「自分で何かを生み出したい」
漠然とそう考える時間が増えていった。
モヤモヤとした気持ちを晴らすため、始めたのが家庭菜園。野菜作りを通して、自分で作る”楽しさ”や”喜び”を実感できた。

ただ、新たな感情が芽生えた。
「自分が本当に作りたいものは何だろう?」
現状に満足出来ずともそれがなぜなのか。正面から向き合い続けることは心の折れる作業だƒ。
だが、瀬戸口代表は1年半もの間、自問自答を繰り返した。出した答えは”ビール”。
「大好きなビールを自分で作りたい」
仕事の合間を利用して、全国のクラフトビール醸造所の見学や島根県の石見麦酒でのビール製造研修を経験し、本格的なビール作りを学んでいった。

運命が足を運ばせ、決意が生まれた地”高知”

ブルワーとしての階段を駆け上がる中、偶然、奥様の兄が暮らす高知県を旅行で訪れた。ビルが林立する環境で育った瀬戸口さんは高知の大自然に圧倒された。訪問を重ねるうちに「高知に住んでみたい」そう思うようになった。

そこからは高知でビールを作ることが目標になった。決意を固めた瀬戸口さんは起業塾や高知への移住促進会へ参加し、高知でのブルワリー開業を実現するためのビジネスプランを練っていった。練り上げたビジネスプランを手に握りしめて参加した高知県ビジネスプランコンテストでは見事に優秀賞を受賞し、自分の夢を手元まで手繰り寄せることができた。

2018年4月。サラリーマン時代から始まった自分探しの旅は終焉を迎えた。そして、念願の地、高知で新たなブルワーとしての旅が始まった。

”高知スタイル”を世界へ~高知独自のビアスタイルの確立を胸に~

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ビールの味は作ってみないと分からない。使用する素材が同じでも、醸造に使う酵母の種類が変わるだけで味は劇的に違ってくる。ビール作りは実験みたいで、これまでにない発見との出会いが楽しみで堪らない。嬉しそうに語ってくれた瀬戸口代表にはブルワーとしての大きな目標がある。”高知スタイル”のビールを世界に広めることだ。

きっかけはビール作り始めて間もない時に読んだビアスタイル・ガイドラインだ。ガイドラインでは様々なビールが”発祥地域”と特徴で分類されており、その数は100を超える。数々のビアスタイルが並ぶ中、日本発祥のビールの記述はどこにも無いことに驚愕した。

高知独自のビアスタイルを確立して世界に発信したい。そんな想いを胸に瀬戸口代表は日々”高知スタイル”のビール確立を目指して、挑戦を続けている。

昨年は、高知伝統の日本酒で使用される酒酵母とビール酵母をハイブリットし、県産の米や米麹などを副原料にした「和醸ケルシュ」を開発し、ジャパン・グレートビア・アワーズで最高賞の金賞を受賞している。近い将来、ビアスタイル・ガイドランに”高知スタイル”の文字が刻まれる日が来るのもそう遠くはないだろう。

文 : カゴヤン

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