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【映画】世界が終わっても愛してる「下妻物語」

人生を変える出会いって、どこに転がっているか分からない。訪れた旅先で価値観ががらりと変わったり、散歩で立ち寄った喫茶店で素敵な人と知り合って情熱的な恋をはじめたり。

出会いは時として「自分はこのために産まれてきたんだ」っていうくらいの「好き」をもたらしてくれる。だけど、それを人生が終わるまで好きで居続けられる人って、どれくらいいるんだろう?

[あらすじ]下妻で暮らす桃子は、刺繍が得意なロリータファッション愛好家。誰にも理解されなくてもいいと孤独に好きを貫いていた彼女だが、衣装代を稼ぐためにはじめた高級ブランドのバッタもの取引で不良少女のいちごと出会う。バイクとパチンコが趣味のいちごとは価値観が合わない桃子だったが、特攻服の刺繍をうけおうことになり……?

ロココ時代の貴族の生き方(優雅で優雅で優雅で優雅!)に憧れている桃子と、常に人を威嚇している柄の悪いいちご。

方やフリルとレース盛りだくさんのロリータファッション。方や、テラテラ生地にギラついたヤンキーファッション。見た目が相反する二人だけど、それぞれの好きを大事にしているところは同じなの。

好きなものに命をかける!って根っこの部分が似ているから、二人は何だかんだありつつも一緒にいる「友達」みたいな関係になる。

これ、コメディ映画ではあるんだけど、運命的な出会いをするロマンス映画でもあるんだよね。ストーリーが素敵だなって見返すたびに思うの。

この映画では描かれていないけれど、外見への偏見って結構な重たさだと思う。それを「人は見た目が全て」と言い切れる桃子がかっこいい!

前に、ファッション業界まで影響を及ぼした映画として「麗しのサブリナ」を紹介したけど…

この下妻物語は、日本のファッションカルチャーを大きく動かしたの。みんなが桃子に憧れて、ロリータファッションはサブカルチャーの域を超えて「Kawaii」文化として世界中に知られるまでになった。

麗しのサブリナとの共通点って、主人公の女の子が自分の意思をしっかり持っているってところにある。サブリナも桃子も、貫きたい「好き」が心にあって、それをファッションで体現しているの。

誰かに理解されなくても、自分が魅力を分かっているから、まっすぐ立っていられる。

とくに男の人で勘違いしている人が多いけれど、女の子が着飾るのは男性にもてたいためなんかじゃない。それが好きだから、そして好きなものを身につけた素直な自分で生きていきたいから。

ファッションでも趣味でも、何でもいい。特別な「好き」に出会って、ずっと添い遂げたいって姿勢に人々が憧れるのは、いつの時代も変わらない。

Kawaiiカルチャーに興味がある人もそうでない人も、この映画で自分がほんとうに「好き」なものを思い出してみて!