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映画レビュー#014 『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』(2020年)

「みんなで手を繋いで崖の上に立っている。一人が落ちたらみんな落ちちゃう。」
石森虹花が言ったこのコメントが全てだと思う。


脆く危うく儚い。私はそこに魅力を感じているのも事実。


『Documentary of 欅坂46』だけど『Documentary of 平手友梨奈』でもある。「僕たちの嘘と真実」の「僕」とは何なのか。各曲の主人公である「僕」なのか。スタッフ・運営側の大人たちを指す「僕」なのか。


2017年12月31日、NHK紅白歌合戦で「不協和音」をパフォーマンスする彼女たちを見て好きになった。好きになったというか、今までアイドルなんて興味なかったので、自分でも経験したことないような渦に巻き込まれた。
娘もどハマりした。なので娘と一緒にライブも何回か行ったし、欅共和国も行ったし、初日だけど東京ドームのライブも行った。
それまで自分が知らなかった、知ろうともしなかった世界を見れたのはとても良い経験だったと思う。ライブでペンライト振るのって、やってみると意外と楽しい(笑)。
本当に今までお疲れ様と思うし、改名後も頑張ってとも思う。


分かっていたことだけど、欅坂46=平手友梨奈だったということを改めて思い知らされる内容。
それぞれのタイミングで起こった出来事は知っていることばかりだったけど、誰かが書いた脚本みたいな嘘のような本当の話。


平手友梨奈。極端な言い方だけど、命あるうちに脱退してくれて良かった。いくらなんでもギリギリすぎる。ここまでとは思っていなかった。

「全部僕のせいだ」
改めて聴くとやはり「黒い羊」はやり過ぎだ。なんであんなことを言わせたのか。伝えたいメッセージはわかる。でもなぜあのタイミングなのか、なぜ平手友梨奈なのか。周りの大人たちが過剰に求めた結果、全てにおいてバランスを崩したんじゃないか、と思うけど、自分もその一部だったりするんだろうな、と思うと複雑な気分。


公開延期により、改名発表後のインタビューも追加されていて、ある種のカタルシスや明るい兆しが感じられたのは良かったと思う。あれがなく、当初の予定通り春に公開されていたらかなりヘビーだったんじゃないだろうか。


ドキュメンタリー映画としても面白かったと思う。時系列の崩し方とかは好きだった。菅井友香もお疲れ様でした。
もっと多くのメンバーの声を聞いてみたかったけど、時間的にはこれで限界なんだろう。


大人の責任について答えるTAKAHIROさんが良かった。
あそこで質問返しするのも、観ている私たちに問いかけられているようで。


アイドルなんてもっとカジュアルに、曲が持つメッセージなんか気にせず歌って踊ってればいいじゃん。みんな難しく、重く受け止めすぎだよ。って思わなくもないけど、それができないグループなんだろうなぁ。
守屋茜がちょっと保守的な感じなのが意外だった。


大きなスクリーンで、大きな音で武道館のライブ映像が観れたの良かった。
「角を曲がる」の歌唱時、限界点を超えてしまった平手友梨奈と、後ろで無邪気に揺れるペンライトの違和感が面白い。
そして平手友梨奈は角を曲がった。


いろいろ好きな曲はあるけど「二人セゾン」が好きだな。
「不協和音」の後に出たシングル「風に吹かれても」がラストチャンスだった気もする。
別にその後ガラスを割る必要はなかったのでは、っていつも思ってしまう。


映画、もう一回観てもいい。
円盤化待ちじゃなくて、劇場で観るのをオススメします。

鑑賞日2020年9月5日(劇場)

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