クマムシ?!―小さな怪物
クマムシという生き物について、日本で初の、一般向けの解説書です。
ムシと付いても、クマムシは、昆虫ではありません。緩歩動物門【かんぽどうぶつもん】という、独自の分類グループに属します。
とても小さいため、普通は、肉眼では見えません。見えないだけで、そこらじゅうにいるそうです。陸の土の中にも、海底にも、淡水中にも、墓石に付いた苔にも、棲んでいます。
つまり、身近にいる、ということです。
身近にいるのに、姿が見えないために、クマムシのことは、知られていません。
けれども、一部では、妙に有名な生き物です。
「妙に有名」というのは、クマムシには、都市伝説的な噂が、付きまとっているからです。
いわく、「百年以上も生きる」。
いわく、「-270℃の低温にも耐える」。
いわく、「150℃の高温でもへっちゃら」。
いわく、「放射線を浴びても大丈夫」。
いわく、「火星でも生きられる」。
いわく、「地球最強の生物」。
これらの噂は、本当なのでしょうか?
驚くべきことに、一部については、本当です!
どの噂が本当なのかは、ぜひ、本書で確かめて下さい(^^)
科学書とはいえ、読みやすいです。文章がやさしいうえに、図版も多いからです。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
1 クマムシってなに?
クマムシってムシ?
どんなムシか
動物の中での位置
からだのつくり
名前の由来
どこにいるのか
どうやって息をするのか
何種類いるのか
2 オニクマムシの生活史
コケのすき間をのぞく
クマムシを飼いたい!
飼えるのか?
肉食動物オニクマムシ
餌の問題
餌の問題 その二
餌のとり方
飼育環境の整備
世話に明け暮れる日々
クマムシのウンコ
脱皮
産卵
母と子
成長の記録と寿命
胚発生
クマムシの発生学
クマムシの性
残る謎の数々
coffee break オニクマムシの学名
3 クマムシ伝説の歴史
研究の幕開け
死と復活
『自然の体系』の一員となったクマムシ
一九世紀のクマムシ
海のクマムシ
趣味の顕微鏡観察
クマムシはなぜかわいいのか?
二〇世紀前半の金字塔――エルンスト・マルクス
coffee break クマムシとカンブリア紀の怪物たち
4 クマムシはすごいのか?
「樽【たる】」とその耐久性
不死身なのか?
水を加えて三分待てば……
クリプトビオシス――秘められた生命
樽の中身はいったい?
樽になるための準備
電子レンジでチン
放射線照射に対する抵抗性
クマムシ以外のすごい奴ら
一二〇年説――事実とフィクション
何年まで大丈夫なのか
クマムシゲノムプロジェクト
分子vs形態
屋根のコケ
そして宇宙のクマムシ?!
あとがき
付録 コケにすむ動物を見てみよう!
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