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『塔』掲載歌

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『塔』誌に掲載された短歌をまとめています。
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『塔』2024年8月号掲載歌

『塔』2024年8月号掲載歌

今月号から「作品2」。梶原さい子選としてP.146に6首掲載していただきました✨

今回は、短歌のお友達4人で井の頭自然文化園に行ったときのことを詠みました。
一緒に行った吉村のぞみ(おもち)さんの短歌もP.130に7首掲載されていますのでご覧ください😊

◾️作品2「梶原さい子選」より

等身大パネルのはな子を見上げつつゾウ舎の躑躅ひらきはじめる

金網を器用に走るリスたちは巣箱をやわらかに奪

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『塔』2024年7月号掲載歌

『塔』2024年7月号掲載歌

真中朋久選として「若葉集」P.199に鍵前🔑6首掲載していただきました。選歌後記もありがとうございます。

今回は、おもち(吉村のぞみ)さんと練馬区立美術館に行ったときのことを詠みました(なんと私のバースデーです🎂)。
おもちさん、いつもありがとう🫶

また、P.232に5月号の若葉集の評を小野まなびさんよりいただきました。
今回で若葉集は卒業だったので、「若葉集を終えて」も載せていただきま

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『塔』2024年6月号掲載歌

『塔』2024年6月号掲載歌

栗木京子選として「若葉集」P.211に鍵前🔑6首掲載していただきました。
目次にも名前が載って嬉しいです✨

3月にふるていさんの「みんなの吟行句会」でしながわ水族館と平和島の競艇場に行った時の様子をまとめました。
句会のことを短歌にして採ってもらえて嬉しいです(3回参加していて3回同じことをやらせてもらっています)。
句友の皆さんに心より感謝を。

また、P.244に4月号の若葉集の評を永野千

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『塔』2024年5月号掲載歌

『塔』2024年5月号掲載歌

花山多佳子選として若葉集P.191に5首掲載していただきました。今回はフィクション混じりつつの日常詠でした(三枝昂之さんが言うところの大西民子風☺️)。

◾️若葉集より

議事録に占拠されてる後輩の机の隅にパイの実を置く

地下鉄のホームの下の暗がりを照らす誰かの自転車の鍵

ドトールも松屋もモスも残業の夜のひとときの寄港地として

真夜中の品出しをする店員を呼び止めメロンパンを購う

月曜日ま

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『塔』2024年4月号掲載歌

『塔』2024年4月号掲載歌

永田和宏選(永田淳 代選)として「若葉集」P.305に7首掲載していただきました。
今月はとても分厚い創刊70周年記念号です。

12月に句友さんたちとジブリ美術館に行った時のことを詠みました。
いつも感謝です😊✨

若葉集より

作品の世界へつづく冒険の起点を三鷹駅に定める

四人なれば四種の柄のチケットをもらいて入るジブリ美術館

二十年前に一緒に来たひとはいまは名古屋と人づてに聞く

創る

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『塔』2024年3月号掲載歌

『塔』2024年3月号掲載歌

岡部史選として「若葉集」P.174に鍵外🔑で7首掲載していただきました。

吉村のぞみ(おもち)さんと11月に行った練馬区の牧野記念庭園をテーマに詠みました。
おもちさんの名前を詠み込んだ歌だけは事前に見せましたが、他はお互いに塔着をもって目にしました。
おもちさんの歌はP.173に掲載されています。
同じ場所で二人がそれぞれ詠んだ歌を味わってもらえたら嬉しいです☺️🌳

若葉集より

「らん

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『塔』2024年2月号掲載歌

『塔』2024年2月号掲載歌

梶原さい子選として「若葉集」P.175に鍵外🔑で7首掲載していただきました😊

ふるていさんの「みんなの吟行句会」で清澄白河の辺りを歩き、句会をした時の様子をまとめました。
句会のことを短歌にして採ってもらえて嬉しいです。句友の皆さんにも心より感謝を。

また、P.208に12月号の若葉集の評を両角美貴子さんより、P.213に12月号の題詠四季「名」の歌の評を「作品一首評」として岡田ゆりさんに

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『塔』2024年1月号掲載歌

『塔』2024年1月号掲載歌

なみの亜子選として「若葉集」P.193に鍵外🔑で7首掲載していただきました。
10月に行った目黒の庭園美術館をテーマに詠みました✨

若葉集より

ラリックの女神四人に目礼し庭園美術館に入りぬ

豊穣と多産といえどレリーフの柘榴から実はこぼれ落ちない

部屋はなお淡い緑を宿したり ラパンの描いた壁紙の森

くりかえす線と模様と色彩の渦にしずかに巻き込まれゆく

三階のテラスには午後のひかり満ちわ

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『塔』2023年12月号掲載歌

『塔』2023年12月号掲載歌

溝川清久選の題詠四季「名」にてP.150に1首、山下泉選として「若葉集」P.199に鍵外🔑で7首掲載していただきました。

若葉集も題詠四季も4番目という奇妙な偶然で、両方とも、目次にも名前を載せていただきました😊

題詠四季「名」

示すではなく禾(のぎ)ですと言いたればわが名は風にそよぐ木となる

若葉集

快速の車窓から見るパラソルが等間隔にならぶ海岸

不自然な生態だとは言われずに今日

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『塔』2023年11月号掲載歌

『塔』2023年11月号掲載歌

小林信也選として、若葉集P.170に6首掲載していただきました。

乾杯の音頭を取った年下の上司のシャツの柄が気になる

寛解をしても戻らぬ握力にレモンは客にしぼってもらう

予告なく会長が来て朝礼は前置きだけで終わってしまう

一斉に夏季休業を取るという隣の部署の水やりをする

嘆くのはやめてB'zを口ずさむ傘を忘れた午後に降る雨

朝顔の蔓巻く先にある日々にやさしい風が吹きますように

P.1

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『塔』2023年10月号 掲載歌

『塔』2023年10月号 掲載歌

永田淳選として、若葉集P.168-169に7首掲載していただきました。
初の鍵外です🔑
ありがとうございます。

偶然をセレンディピティと呼んでみる旅行初日は「塔」の開所日

京という海原に建つ碇ビル 外階段は二階へつづく

重厚な扉は細くひらかれて淡きひかりと婦人あらわる

まだ薄い昔の「塔」をめくりつつ河野君江のことなどを聞く

御所の前からもう一度バスに乗る両腕に若葉風をかかえて

きょう

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『塔』2023年9月号 掲載歌

『塔』2023年9月号 掲載歌

永田紅選の題詠四季「糸」にてP.111に1首、前田康子選として、「若葉集」P.162に4首掲載していただきました。

題詠四季「糸」

糸魚川静岡構造線上にわがふるさとは鎮座しており

若葉集

漫才のような掛け合い終えたのち母は帰って広い食卓

カフェラテにシロップを足す いつからか定型文で生きられなくて

濃淡を愛でるのはヒトのみだろう海はひとつにつながっている

鈍感と言われるように振る舞っ

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『塔』2023年8月号 掲載歌

『塔』2023年8月号 掲載歌

山下洋選として、「若葉集」P.176に5首掲載していただきました。

鰯らが正しく群れる真昼間に水族館を逆からまわる

いいように解釈をする人がいて明日の天気だけを話した

焼きたてのポンデケージョを渡しゆくホップステップ踏むようにして

ふるさとに君とつくった基地のこと いまは「one of them」の私も

抜け道を我が物顔で歩く日に帰化植物はこんなに揺れる