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学校施設でも大切な音環境

音環境を整えるためには欠かせないのが「吸音」。ですが、日本では法律によって使用が義務付けられている、ということはありません。そのせいか、吸音不足で響きすぎる空間が多いのが現状です。
でも、有孔板(あなあき板)は皆さん必ずどこかで見たことがあるのではないでしょうか?

音楽室でよく見る「有孔板」

小さな穴が開いた壁、学校の音楽室の壁の定番です。音楽室は響きを整えなければならない部屋の代表格、ということで、有孔板がよく使われています。

音楽室だけではなく、学校の教室も、音声を明瞭に伝え、騒がしさを抑えるために、適度に吸音することが重要です。音楽室、教室、体育館など、学校内のさまざまな部屋には、用途に応じた適度な響きの条件を示す推奨値、それを実現するための設計指針が示されています。2008年に日本建築学会環境基準(AIJES)として初版が、2020年に改訂版が発刊されました。

日本建築学会の環境基準「学校施設の音環境保全規準・設計指針」2020

文部科学省の「学校施設整備指針」には、適切な「遮音性」「吸音性」をもたせるよう書かれていますが、これらを具体的な数値で示し、さらにそれをつくる方法を示しているのが上の書籍です。

日本建築学会環境基準「学校施設の音環境保全規準・設計指針」
 AIJES-S0001-2020
 
https://www.aij.or.jp/books/productId/635409/

海外では、イギリス、デンマーク、ドイツ、ベルギー、アメリカ、オーストラリアなどの国々でも教室の響きに関する推奨値が示されています。例えば、イギリスではBuilding Bulletin 93といって、イギリス教育省による学校のための建築設計基準が定められており、学校建築は法令によってこの基準を満たすことが義務付けられています。

●Building Bulletin 93 
 "acoustic design of schools - performance standards"

 https://www.gov.uk/government/publications/bb93-acoustic-design-of-schools-performance-standards

日本でも、音楽室だけでなく、学校の教室、こども施設の保育室にも、あたりまえに吸音材が使われるようになってほしいものです。

ちなみに、学校の音楽室は吸音材の使い過ぎで響きが短すぎる事例も多く、これは実は望ましいことではありません。
歌声が気持ちよく響くような音楽室であってほしいですよね。
響きは長すぎても短すぎてもよくない、ということも知っておきましょう。


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