読書記録#6 シドニーのグリーン・ストリート 村上春樹

 羊男シリーズの一つである本作品。願望憎悪がテーマとなっています。願望憎悪という言葉は造語ですが、意味は読んで字の如しです。

 憎悪の対象となるのは羊男、憎悪する主体は羊博士。そして羊博士は羊男の耳をちぎって奪うという嫌がらせをします。どうやったらこんなにコミカルな代替表現が出来るのか、ちょっと意味が分かりません。著者の才能が羨ましいです。

 そしてもう一点、気になる設定が、主人公がお金持ちなのにそれを隠して治安の悪い場所に住んでいるというところです。村上さん自身も、お金に群がる人々に辟易させられた経験があるのかもしれませんね。


 この作品、ちゃんと堀っていくともっと奥深い解釈が見えてくるそうです。いつか深いバージョンの記事も書いてみたい。


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