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その夜は、広場のステージにみんなが集まってお別れの会が開かれた。ダイコク編集長、玉寺人…
翌日の夜、私はオケラを肩にのせて満月とミラーハウスで話をした。 「なあ満月、ひとつ気に…
地球うさぎは、もし、カンガルーの子が幸せになれなかった時は、いや、幸せにするにはどうし…
地球うさぎは、穴ぐらからすべてを覗いていた。宇宙うさぎの行動、カンガルーの行動、それか…
カンガルーが距離を取り、地面にぐっと腰を落とす。 ――来る! カンガルーの両脚が満…
目が覚めると、私の顔を覗き込むダイコク編集長、玉寺人事部長、満月、オケラたちがいた。私…
目が覚めると、カンガルーと私だけがそこに存在していた。誰からも邪魔されない、柔らかなゆりかご。母の胎内だ。何故だかそう思った。 思う存分寝っ転がって、ぐっすり眠りたい――。 そんな衝動を何とか振り払い、私はカンガルーを見据えた。カンガルーもこちらを見ていた。ふいに小さなため息。カンガルーが話しかけてきた。 「あんたカンガルーは好きか嫌いか」 カンガルーを? 好き嫌いで考えたことなどなかった。ただびょんびょん跳ねる動物としか思っていない。 「いや、嫌いじゃない
草木も眠る丑三つ時、動植物園の動物たちは眠らない。そろりそろりと檻から這い出すーー。 …
不知火(しらぬい)の皮をむいていたら電話がかかってきた。この甘くてみずみずしい果実は、…
ダイコク編集長の話を聞きながら、私は幼い時のあの出来事を思い出していた。私は子どものこ…
夜、動植物園のカンガルーは、仲間の檻をひとつずつ開けていく。 ひとつ、サイがゆっくり…
翌日、私は作戦通りダイコク編集長に会いに行った。 宇宙うさぎが、うさぎ手は足りてるが…
オケラに煽てられていい気になった私は、宇宙うさぎとオケラをボロアパートに招待した。もち…
弦の振動が記憶を伝う。私とあの人とあの毛玉っ子との日々。産山の神様がお繋ぎくださったあのご縁。ご縁に恵まれたこの幸せは、必ず次の子どもたちに繋ぐ――。 私の前には、おろおろと状況の飲みこめない青年。昔のあの人にそっくり。毛玉っ子にお尻を叩かれて、やっとこさ問題を解決して、少しずつ世界と向き合って。 「あなた、私と取引しましょ」 少年の記憶の夢から覚めたこの人は提案を受け入れるかしら。ポカンと開けた口まであの人にそっくり。 「あなたの望みひとつと、私の願いひとつを交