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【小説】肥後の琵琶師とうさぎ

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2022年10月の記事一覧

【小説】肥後の琵琶師とうさぎ14

【小説】肥後の琵琶師とうさぎ14

「私が見ていたのは夢だったのか?」
 私の質問に、毛玉はため息まじりに答える。
「いや、夢を見ていたのは娘の方だ」
 ーー娘の夢?
 私は、いまいち現実味のない現状に困惑し、毛玉と景色とを見比べるしかなかった。
「娘が望んだ夢を、お前と俺が見た。娘は、哀れな琵琶師を救いたかった」
「娘が私を?」
「そうだ。娘は、見目は娘だが、お前の母だった」
 ーー私の母……。
「職を、食事を施されただろう」
 

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