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日仏デザイン論 ~ フランスにおける「会議」の意味とは?

インハウスで働くデザイナーの場合、社内でデザイン案を意思決定していく上で「会議」は避けて通れない場の1つです。

フランスのデザイン会社でもそれは同様ですが、同じ「会議」でも、その意味合いや、重要視されているポイントが日本とは大きく異なります。

私自身もフランス赴任当初はそのギャップが理解出来ておらず、対応に悩みました。

今日はその「会議」の持つ日仏の意味合いの違いについて、経験を元に所管を綴りたいと思います。

日本はシャンシャン会議、かつ【 進捗重視型 】

日本人だけの会議でよくありがちなのが、とにかくリアクションが薄く、「結論」や「良し悪しのジャッジ」がはっきり分かりづらいことが挙げられると思います

例えば会議中、所々で「質問はありますか?」と問いかけても何も意見が出ず、そのまま終わることありませんか?

会議自体はノーコメント、シャンシャン!で終わり。これをシャンシャン会議と呼んでいます。

もちろん個々人で所管はあると思うのですが、言いたいことがあっても、その場で発言をして場を長引かせることに罪悪感を持つ人が多い印象です。

昨今の森喜朗元会長の会見にも通じますが、空気を読んで「わきまえる」よう、村社会的な無言のプレッシャーを与える雰囲気があるのでしょう。

一方、シャンシャンで終わったと思いきや →  会議後にメールで質問が飛びかう →   色々な不確定要素が出てきて結論が曖昧に/もしくは会議の後で問題が発覚する →   最終的に決まらない! →   振り出しに戻る…

‥と、こういった負の循環になることもしばしば。

では日本における会議の意味とは?と考えると、日本の多くのデザイン会議は

・それがスケジュール通りに進行しているか
・求められるスペック(仕様など)に沿っているか
・ペルソナやコンセプトに沿っているか
・プレゼンのストーリーが明確に通っているか

など、段取り確認や、仕様とのすり合わせ的な要素がより強いと感じます。

また、より具体的でストーリー(プレゼンの起承転結)が通っていることが重要視される傾向です。

その点では、日本の仕事は日程的には非常にスムーズに進むのが利点と言えるでしょう。



フランスの会議は空気を読む必要無し、素直に思ったことを伝えよう! そして【 雰囲気重視型 】

一方、フランスと比較してみましょう。

フランスでの会議は、「デザインの良し悪しをはっきりと議論する場」としての機能が1番大きなポイントです。

この際、アイデアに対してメンバーの素直なリアクションが常に求められます。ノーコメント=自分の存在感が薄くなるため、同席している以上は何か積極的に発言をしなければ!という危機感を持って会議に挑みます。

周りの空気を読む必要も、基本的にはありません。自分の意見があれば素直に伝えることが大切です。

会議中は、メンバーからの良い悪いのコメントが明確な分、「いいね!」といったコメントは、そのまま素直に受け取られます。(受け取った側はそこからの修正は必要ないと判断する)

気に止まらなかったら素通り‥‥と言う逆ケースももちろん存在するため、日本のデザイン会議よりもナーバスな雰囲気になりやすいのも事実です。ときに外野から聞いていると、喧嘩のような激しい議論になることも。

フランスの会議の意味を簡単にまとめると、

・純粋にアイデアに対する意思決定の場
・個人的主観でもいいので、他人の案に対してその場で意見交換する

一方、会議中は条件反射的に感覚的コメントが求められるため、裏付けなどのロジックは後回しになることが多いフランス流。「あ、なんかいい感じだね〜」といったフワフワした雰囲気感でデザイン検討が進み、段取りや仕様などが置き去りになったまま会議が終了!ということも。

こういったケースは、進捗重視型の日本人にはあまり見られませんね。


会議資料をフランス人とコラボで作ったら?

例え話として経験談を1つ。

日仏混合チームで、会議資料を合同作成した時の経験です。

この時の条件としては、1つのプロジェクトに向けてパラレルに動いている複数アイデアを、チームとして1つの資料にまとめることでした。

フランスの同僚たちは、個人主義&かつ成果主義のヨーロピアンらしく、最後の最後まで自分のデザインを細部まで磨き上げることに全集中。あえて他人と違う見せ方をして、より目立つ→アイデアが採用される!という文化が根強くあるのでしょう。

一方日本人同僚は、会議の事前に他人の進捗を確認しつつ、プレゼンの見せ方として他とトーンマナーを合わせるなど、全体調和を取ることにより時間を割きました。個のアイデアを目立たせるより、チームとしてプロジェクト全体ストーリーを巧く伝えることが、結果、自分の成果にも繋がるというロジックです。

どちらが良いのかは会議の置かれた状況にもよるので一概に言えませんが、会議に向けたゴール設定が全く違うのが読み取れます。

ちなみにこの時の会議資料は、日本人/フランス人の担当したパートでチグハグ感が生まれてしまい、結果やり直しになったのでした‥‥。

異なるナショナリティが合同で資料を作る際は、極力事前にゴールイメージを共有しておくことをオススメします。


余談、ミモザ花粉

最後に、余談でトップ写真について。

2月も後半になり、南フランスはミモザシーズンも終わりに。毎年この季節は可憐なレモンイエローの花に春の訪れを感じます。

山に囲まれ1年を通して温暖気候の南フランス。一方で花粉の量も凄まじく、この時期は屋外に車を停めておくと一緒で花粉まみれに!洗車の意味が全くありません‥

私はフランスに来て花粉症デビューしてしまいました‥‥皆さまもご自愛ください。

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