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「衣、食、住、DJ」 vol.10 DJインタビュー:DJ/MUSICMAN

皆様こんにちは。ホンダイズミです。
オタイレコードの<note>企画「衣、食、住、D J」第10弾。
今回はナゴヤの著名DJ、通称ミュー様をゲストに迎えてのインタビュー。ご自身が影響を受けたアーティストやDJの名前がたくさん挙がってとても興味深かったです。

それでは早速スタートしましょう!

〜DJキャリアのスタート〜

ホンダ(H):そもそも始めたキッカケは?
MUSICMAN(M):中学の頃からバンドをずっとやっていまして、イカ天(*イカスバンド天国)世代だったので(笑)。最初はBOØWYやユニコーンのコピイをしていて、大学時代もサークルに入って続けていたんですけど、90年代に入って(ナイト)クラブが盛り上がって来た頃にバンドのメンバーの一人がDJをやり出して、メンバー皆で見に行くうちに「面白い!」ってなって、ライヴハウスで「バンドが入れ替わる転換にDJを入れよう」という話から自分もやり始めたのが最初です。
H:なるほど。時代的にはどの辺りになりますか?
M:電気グルーヴとかケン・イシイなど日本のテクノが流行り出して、あとはTLCやSWV、日本ならMISIAが出て来たりしてR&Bが流行った頃で、僕が十九、二十歳でしたから今から30年くらい前です。
H:1990年代ですね。
M:クラブではミニマルテクノが流行っていて、例えばジェフ・ミルズとかの時代なんですけど、一方でロックを掛けてモッシュする(*体をぶつけ合う、飛び跳ねるなどの行為)みたいなシーンもあって、楽しくてよく遊んでいました。
H:ハコで言うとどこになるんですか?
M:「TEXT」や「MAGO」です。バンドメンバーでギターの子がR&BのDJをスタートして、彼がターンテーブルを買ってから皆で集まってレコードかけるみたいなのが始まって僕はテクノのレコードを買ってミックスを録ったりしていました。ハジメ君って言うんですけど、一つ年下のUJI君なんかと一緒によくやっていました。
H:バンド活動も並行していたんですか?
M:一応やってはいたんですけど、卒業と同時に終了みたいな感じで。結局、DJの方が楽しくなっちゃったんです。その頃にビッグビートが流行り始めて、元々ロックあがりなので入りやすいってこともあってハマリました。FATBOYSLIMとか。で、当時新栄に「ワイルドスワン」っていうクラブがあってそこでビッグビートのDJをやっていたイトウケンタロウと知り合って、ヤバかったからナンパして、というか「一緒にやりたい」っていう話をして、その辺りから自分も本格的にDJをやるようになりました。ヘラルド「OZON」(*移転後)の「HYPE」っていうパーティーにピックアップされて、そこからです。
H:ちなみに、師匠みたいな存在はいますか?
M:います。僕がホントに真剣にDJを始めることになったのは、MACHA(NAKAMURA*故人)さんとの出会いがキッカケなんです。今でも忘れませんけど、PIVOTビルにあった時の「OZON」でやったテイ・トウワのツアーの前座でプレイしたマチャさんを見てスゴいカッコ良くて、憧れて(いいな〜!)と思って、ケンタロウ君に紹介してもらってMACHAさんのところにMIX-CDを持って行きました。「一緒にやらせて下さい!」ってお願いして。結果「MAGO」のセカンドを務めさせてもらうようになったんです。
H:<Nagoya Disco Night>ですね!
M:はい。それからMACHAさんのDJのコピーみたいな感じでやっていました。
H:そういった経緯だったのですね。知らなかったです。
ところで、MUSICMANというDJネームの由来は?
M:最初は山本洋介でやっていたんですけど、MACHAさんから「オレはMACHAだから覚えてもらえるけどお前はどうするんだ?」みたいに言われて。真心ブラザースが中学校の頃から好きで、メンバーの倉持陽一さん、今のYO-KINGが<エレファントラブ>っていうラップユニットをやった時の最初のEPで倉持MUSICMAN陽一っていう名義が(カッコいいなー!)と思ってそこからもらいました。
H:そうなんですね!初めて聞きましたよ。ジュディマリのユキさんのご主人ですよね。
M:いやでもね、つけなきゃ良かったかな?って。
H:いいじゃないですか。カッコいいし覚えやすいし。
M:ただ、トーキョーのDJとか外国の方に「で、名前は?」って聞かれるので「ヨースケです」みたいな。結局皆さん本名で呼び合うんですよ。
H:実際はそういうものなんですかね。

〜転換期について〜

M:実はこれもMACHAさんが起点なんですけど、当時「MAGO」のセカンドでMURAKAMIGOさんもレギュラーでいらっしゃったんです。で、一緒にやらせてもらってメチャメチャ感銘を受けて、「村上さんサイコー!」とか思いつつそこで頑張っていたら、当時なかった「本当のオールミックスのパーティーをやりたい」ってことで、村上さんが「CIPHER(THE UNDERGROUND)」で新しく始めた<FUNFAIR>にピックアップしてくださって、そこでまた更に開花した、というか。あの場がなかったら今の自分はないです。だから村上さんにもすごく感謝しています。
H:今考えるとスゴい方々ですからね。周りに恵まれていたんですね!
レコードは主にどこで買っていたんですか?
M:「MEGA-MIX」にはよく行きました。山田さんっていうテクノのバイヤーの方が偶然学校の先輩だったので、仲良くさせてもらってました。あとは金山の「groove」、「After Hours」です。「material」っていうレコード屋さんをやられていたズッキーさんに色々教えていただいて、ジャズとかディープハウスに傾倒していって今に至るって感じです。ただ、実は一時期DJが面白くないなーって思っていた時期もあったんです。
H:それは具体的にいつ頃なのでしょうか?
M:<FUNFAIR>が終わって、「about」で週末のレギュラーもやらせてもらっていたのですが、なんだか煮え切らない部分が心のどこかにあって、そんな時に「club JB'S」の向井君に「平日の帯でやらないか?」って声掛けてもらって<NO.6>っていうパーティーのメンバーになりました。その頃からディープハウスをやりたい気持ちが強くなって、ズッキーさんの力も借りたり、周りのDJメンバーもいい子達がいっぱいいたので、切磋琢磨しました。結果的にはそのパーティーが想定外に長く続いて、いろんなことをやらせてもらううちにまたモチヴェーションが上がって来たっていう感じです。で、その後平日のハウスのパーティーとして引き継いだのが、今やっている<CURE>なんです。
H:ああ。先日5周年を迎えたJB'Sの。アレはミュー様がオーガナイザーですよね?私も二度ほど遊びに行きましたけどいいパーティーじゃないですか。しかしまあ、長くやっていれば実際色々ありますよね。
M:<NO.6>時代に音楽にギュッと集中したのが良かったのだと思います。で、「domina」で<Late Night Sessions>というパーティーをオーガナイズしました。突き詰めた<FUNFAIR>みたいなのをやりたくていろんなメンバーに声掛けて実現したんですけど、それも僕の中では良かったなって思っています。
H:完全に吹っ切れたワケですね。
M:はい。それからAGOさんに声掛けてもらって。僕にとっては雲の上の存在だったんですけど。酔っ払うとコワイ人みたいな(笑)。
<TSUBAKI fm>にお誘いいただいて、そこでまた活動が広がった感じでしょうか。クラブではないところでDJすることになって、いろんな音楽を聴くようになったのも僕にとっては大きいですから、とてもありがたく思っています。
H:いろいろな方々との出会いがあって今のミュー様があるって感じなのですね。よく分かりました。

〜趣味の話〜

H:話は変わりますけど、音楽以外の趣味とかってあるんですか?
M:今は本を読むのが楽しいです。
H:へえー。読書ですか!意外ですね。好きな作家さんとかいますか?
M:ずっと好きなのは京極夏彦で、「姑獲鳥の夏」を読んで衝撃を受けて以来、京極堂シリーズのどんどんぶ厚くなって重くなる本を持ちながらおどろおどろしい物語に浸るのがサイコーだなって。それからはいわゆるメジャーな作品を読んでいたんですけど、最近は主にノンフィクションです。定番ですけど「深夜特急」で東南アジアの行ったことがあるところの追体験をするのがすごく面白くて、以来ハマっています。最近だと高野秀行さんの「イラク水滸伝」が面白かったですね。僕の大好きな厚い本なんですけど(笑)、イラクにメチャメチャデカい沼地があってそこで生きて行く人達が居て、沼に生えてる葦を使って家を建てて生活するんです。
H:「葦(アシ)」っていうのはいわゆる硬い草のことですよね?
M:そうです。その葦を折りたたんだ島みたいなところに更に葦で家を作る。上も葦、下も葦みたいな感じです。スゴくないですか?そういった僕らが知らない異文化を研究するというか、エスノグラフィーって言うのかな?、少数民族なんかと一緒に生活して調査したり記録したりするんですけど、知らない文化を、その人を通して追体験できるからスゴく面白くって。
H:それはアナログで飲むんですか?
M:いや、アナログで読みたいんですけど、電子図書のラクさを覚えるとどーしてもそっちになっちゃうんです。Kindleを持っているので。
H:なるほど!そこは、レコードが好きだけどついUSBでDJやっちゃうのと一緒なワケですね!
M:です(笑)。実は元々千種正文館が大好きで、マニアックな本とかが結構あってよく通っていたのですが、最近なくなっちゃったんです。それがメチャメチャショックで。
H:ありましたよね。ビルごと本屋さんみたいな大きなところでしたっけ?まあ最近本屋さんはどんどん減っていますからね。
M:できれば本屋さんで買いたいし、実際なるべく買うようにはしてるんですけど。それは本屋さんを残す為に。でもやっぱり「この人の次の作品も読みたい」となるとKindleの方がラクなんです。
H:ですよね。いやでもミュー様が読書のイメージはなかったです。正直。
M:例えば映像とかがあると刺激が強すぎるというか、自分が自由にイメージする余地がなくて。本を読んでいると色々と想像できますから。それが楽しいのかもしれません。最近読んだ「三体」もそうで、完全にイマジネーションの世界なんです。メチャメチャ面白いです!
H:SFですね。ネトフリでは観ましたけど。
M:SFっていうか、物理法則の話です。原子がいくつとか、宇宙で光速が遅くなって時間がどうとか。アインシュタインの相対性理論やニュートンなんかに憧れがあったのでその辺りの欲が満たされます。あと、長い話が好きなんです。
H:長いですよね?やたら長いわりにいつまで経っても宇宙人出てこない(笑)。
M:いやいやいや宇宙人出てこなくてもいいんです!見えない宇宙人とどう戦うか、っていう話なんですから。
H:ふーん。そーいうものなのかなあ(←*STAR WARS派)。

〜今後のこと〜

H:今後の展開はどんな感じですか?
M:最近ずっとDJの本数が多かったんですけど、たまたま今月は1本しかなくて(*収録は7月4日)、これは神様の思し召しだな、と受け取ってインプットの期間にしようと。だからいろんなところに行っていろんなことを仕入れたいな、と、今は考えています。それは音楽的なことだけではなく他も含めてです。で、集中して次回の<DECAMERON>(*7/20土曜日@今池nomal)に臨めればいいな、と。
あと、もう一つのレギュラーパーティー<CURE>(*@clubJB'S)のメンバーが間もなく一人卒業するので、そこからの展開もうまく行けばいいなという気持ちもあります。だから、私生活も含めてすべてが良い流れに向かっていける為の一ヶ月にしたいと思っています。実はココ(*PLUS+ Matsubara)に来たのもそーいう理由なんです。
H:わざわざお越しいただいて恐縮です。このインタビューで昔を振り返っていただいたのも何かのキッカケになれば良いのですが。
M:はい。いろいろと想い出せて良かったです。
H:本日はありがとうございました。今後のご活躍をお祈りしています。
M:ありがとうございます。

弊社店舗にて自撮り

私も個人的にファンである、ナゴヤのハウスシーンをリードするミュー様はとても気さくな方で、今回は意外な一面も知ることができてとても楽しい時間でした。
お店に呑みに来てくれたところを無理矢理捕まえてインタビューに応えてもらったのですが、急だったにも関わらず素晴らしい対応。感謝感謝です♪
皆様もご興味があれば是非パーティーに遊びに行きましょう!

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TEXT : ホンダイズミ(PLUS+ Talent Agent 代表)
*名古屋市中区松原にカフェ&サロン「PLUS+」をオープンしました。
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